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AI倫理対策や2040年のネットゼロ実現、加速するソニーのサステナビリティ施策製造マネジメントニュース

ソニーグループは2022年9月15日、ESG分野での活動について説明会を開催した。本稿ではソニーグループによるAI倫理と、カーボンニュートラル実現に向けた環境に関する取り組みを抜粋して紹介する。

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 ソニーグループは2022年9月15日、ESG(環境、社会、ガバナンス)分野での活動についてオンラインで説明会を開催した。本稿ではソニーグループによるAI(人工知能)倫理と、カーボンニュートラル実現に向けた環境に関する取り組みを抜粋して紹介する。

エレクトロニクス製品対象のAI倫理評価も

 ソニーグループ 執行役 専務の神戸司郎氏は「AIはセンシング技術と並び、当社の事業展開を推進する要素となっている。一方で、モビリティや音や映像などのエンターテインメント分野における重要度も増しており、社会に与える影響も大きい」と語る。

 このため、ソニーグループは2018年に「ソニーグループAI倫理ガイドライン」を発行し、AI利活用に際して、多様性や人権の尊重、差別防止、透明性追求、信頼性向上に配慮することを示した。2019年には「ソニーグループAI倫理委員会」を設立し、ソニーグループ各社にAI開発や利用における倫理的評価と啓発活動を行うとともに、AIの適切な利用に関する支援活動なども展開している。


ソニーグループのアリス・シャン氏

 同委員会はリスクの大きなAI活用事例について、是正や中止の勧告を行うことができる。ソニーグループ AI倫理担当グローバルヘッドのアリス・シャン(Alice Xiang)氏は、「実際にAI倫理室で検討された結果、AIの利活用が見送られた事例もある」と説明した。この他、2021年7月には、エレクトロニクス製品を対象とする品質マネジメントシステムに対して、AI倫理アセスメントを必須の順守事項とするよう規定した。

 ソニーではAI倫理アセスメントの基本コンセプトとして「AI Ethics By Design」の発想を取り入れている。これは、AIにまつわる倫理的問題はAI開発前の企画段階から設計、製造、出荷のサイクル全体を通して見る必要があるという考え方だ。同コンセプトにのっとり、これまでにスマートカメラソリューションや、ビデオ制作ソリューション、その他のエレクトロニクス製品についてAIアセスメントが行われてきたという。

SBTiに「世界初」認定


ソニーグループの神戸司郎氏

 ソニーグループでは環境分野において、カーボンニュートラル実現に向けた長期環境計画「Road to ZERO」を発表しており、この目標実現に向けた取り組みを進めている。同計画では2030年までに再生可能エネルギー導入などを通じてGHG(温室効果ガス)プロトコルにおけるスコープ1、2のネットゼロと使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄うRE100を達成し、さらに2040年までにスコープ3のネットゼロ達成を目指すとしている。また、ソニーグループはこの目標に関して、耐久消費財や家庭用品、パーソナルケア製品セクターの大手企業としては「世界で初めて」(神戸氏)、SBTi(Science Based Targets initiative)からネットゼロ目標の認定を取得した。

 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入も進む。ソニーグループでは既に欧州地域や中国地域の事業所では再生可能エネルギーの100%導入を完了している。これに加えて2021年度には、国内ではソニーグループマニュファクチャリング&オペレーションズ 幸田サイト(愛知県額田郡)とソニーセミコンダクタマニュファクチャリング 熊本テクノロジーセンター(熊本県菊池郡)に、海外ではタイのソニー・デバイス・テクノロジーとマレーシアのソニーイーエムシーエスに太陽光発電設備を設置した。


太陽光発電設備を設置している事業所の位置[クリックして拡大] 出所:ソニーグループ

 さらに新たな取り組みとして、デジタルグリッドのサービスを用いて、発電事業者と契約してFIP(フィードインプレミアム)制度を活用したバーチャルPPA(電力購入契約)によって環境価値の直接取引を「日本で初めて」(神戸氏)実現する体制を整えた。また、2022年5月には再生可能エネルギーの調達方針を改訂し、発電設備の導入時や運転時の環境配慮項目を追加している。「調達においても現場確認や地域とのコミュニケーション状況の確認を行うようにした」(神戸氏)という。


日本初のFIP制度を活用したバーチャルPPA[クリックして拡大] 出所:ソニーグループ

 ネットゼロの達成に向けた取り組みとして、今後ソニーグループでは、同社GHG排出量全体の約62%を占めるスコープ3の「販売した製品の使用」(カテゴリー11)や、約22%を占める「購入した製品・サービス」(カテゴリー1)などの削減を進めるとした。具体的なアクションとしては、省エネ製品の開発やユーザーに省エネ機能の利用を促すといったものが考えられる。

 またカテゴリー1に関しては、特にサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を目指すため、原材料や部品サプライヤー、製造委託先に対して、GHG排出量の把握や長中期的な排出量削減目標設定を行うよう促しているようだ。「サプライヤーにおける環境負荷低減に関する施策の調査も実施している。この他に、動画の視聴やSBT(Science Based Targets)に関するガイダンスの受講、排出量算出の支援を通じてサプライヤーの知識底上げを図っている。さらに、サプライヤーの工場を訪問して、SBT相当の目標設定方法を教え、SBTiによる認定取得の支援を行うなどの取り組みも行ってきた」(神戸氏)としている。

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