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スマートフォンの急速充電に適したセルフコントロールプロテクターを製品化:組み込み開発ニュース
デクセリアルズは、30A定格のセルフコントロールプロテクター「SFS-0830A」を製品化した。ヒューズ抵抗を0.55mΩに抑えたことで、ヒューズ自体の発熱や消費電力が低減するため、同製品を搭載した機器は長時間駆動が可能になる。
デクセリアルズは2022年7月25日、30A定格のセルフコントロールプロテクター「SFS-0830A」を製品化したと発表した。従来品比で、抵抗値を57%、大きさを21%削減している。既に幾つかの急速充電対応スマートフォンへの採用が決まっている。
セルフコントロールプロテクターとは、リチウムイオンバッテリーの充放電を制御する2次保護用の表面実装型ヒューズだ。1次保護機能の不具合で過充電や過電流が発生した場合に、ヒューズ部品を溶断して回路を遮断する。
SFS-0830Aは、製品裏面とヒューズ部をつなぐスルーホール間の導通距離を最適化することで、ヒューズ抵抗を0.55mΩに抑えた。これにより、ヒューズ自体の発熱や消費電力が低減するため、同製品を搭載した機器は長時間駆動が可能になる。また、ヒューズ部品を含め、製品全体を鉛フリーとし、環境負荷の低減にも寄与する。
電池パック直列セル数は2セル、動作電圧範囲は8.1〜9.6V、ヒューズ部の最大遮断電圧は36VDC、最大遮断電流は80A、ヒーター抵抗は2.97〜4.37Ωとする。
大きさが5.4×3.2×0.9mmと、小型かつ薄型のため、限られた空間にも実装可能だ。スマートフォンのほか、電動工具やコードレスクリーナー、電動バイクにも利用可能で、リチウムイオンバッテリーの安全性向上に貢献する。
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