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「世界初」の双方向開閉対応の高電圧直流リレー、家庭用蓄電システムなど想定組み込み開発ニュース

オムロンは2022年5月11日、高容量の家庭用蓄電システム向けの高電圧直流リレー「G9KB」を販売開始した。接点の定格がDC600V/50Aかつ、双方向開閉に対応したリレー製品は「世界初」(オムロン)という。

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 オムロンは2022年5月11日、高容量の家庭用蓄電システム向けの高電圧直流リレー「G9KB」を販売開始した。接点の定格がDC600V/50Aかつ、双方向開閉に対応したリレー製品は「世界初」(オムロン)という。

アークのふるまいを高精度予測で安全性確保

 G9KBのサイズは50.5×37.0×50.5mmで、重さは約110g。接触抵抗は5mΩ。接点の定格はDC600V/50Aで、電気的寿命は定格負荷において±2000回。消費電力は2.8Wとなっている。DC600V/50Aの接続、遮断に対応しており、大きな直流負荷を要する機器、アプリケーションに適用できる。近年需要の高まる太陽光発電システムや蓄電システム向けの安全規格「UL60947-4-1」「EN61810-10」を取得している。


G9KBの外観[クリックして拡大] 出所:オムロン

 G9KBは大阪大学との産学連携を通じて開発した3次元アークシミュレーション技術によって、蓄電システムの充放電時に流れる直流電流のオン/オフ制御と安全遮断の機能を単一製品で実現している。


アーク遮断技術と3次元アークシミュレーション技術の概要[クリックして拡大] 出所:オムロン

 直流電流の場合、電流遮断時にアークが発生し、リレー製品の接点にまで伸びてダメージを与える恐れがある。場合によっては接点が溶着してしまうなど、機器のエラーや故障の原因となりかねない。そこでオムロンは、3次元アークシミュレーション技術を活用してアークのふるまいを高精度にシミュレーションすることを通じて、アークを引き延ばして、遮断し、接点に可能な限りダメージを与えない技術を確立した。2次元のシミュレーション技術と比較すると、アークの伸び方を立体的に把握できるようになった分、より高精度にシミュレーションが行えるようになったという。

 もう1つの特徴が、充放電時の双方向開閉に対応している点だ。G9KBと同等程度の機能を有する一般的なリレー製品では電流の遮断が一方向しか行えない。このため充放電の回路それぞれにリレーを配置しなければならず、1つの充放電システムにつき4個のリレーを組み込む必要がある。一方で、G9KBを用いれば直流電流の開閉制御と安全遮断が単一の製品で行えるので、1つの充放電システムに1個組み込むだけで済む。基板上におけるリレーの占有面積を削減し、消費電力削減にも貢献する。


G9KBの採用により搭載するリレーの数を減らせる可能性もある[クリックして拡大] 出所:オムロン

 近年、社会全体で脱炭素の機運が加速しており、これに伴って将来的に高容量な家庭向け蓄電池システムの需要も高まっていくと予想される。こうした市場環境を背景に、オムロンの担当者は「G9KBは家庭用蓄電池システム内のパワーコンディショナー、バッテリーユニット以外にも、家庭用電力とEV(電気自動車)をつなぐV2H(Vehicle to Home)や、EVの急速充電器などにも活用可能だ。家庭用の電池システムは発火や爆発などを防ぐ安全性が重視される。当社のリレー製品を通じて、安全性向上とともに、脱炭素の加速に貢献したい」と語った。

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