インクジェット塗布対応の光学弾性樹脂を製品化、抜き加工による廃棄ロスを削減:組み込み開発ニュース
デクセリアルズは、インクジェット塗布対応の光学弾性樹脂「Jettable SVR」を製品化した。適切な量を必要な箇所に塗布でき、塗布の厚みも細かく制御可能で、廃棄ロスを削減するほか、3D形状ディスプレイにも対応する。
デクセリアルズは2022年3月24日、インクジェット塗布対応の光学弾性樹脂「Jettable SVR」を製品化したと発表した。複数のタブレット端末への採用が決定しており、既に出荷を開始している。
同社の光学弾性樹脂「SVR」は、トッププレートとディスプレイパネル表示部とのエアギャップを埋める、液状の紫外線硬化型アクリル樹脂だ。トッププレートの材質に似た光学特性を有しており、エアギャップの界面での光の反射を低減する他、衝撃吸収性や視認性を高められる。
Jettable SVRは、インクジェット印刷のように適切な量を必要な箇所に塗布できる。塗布後はUV仮硬化、真空貼合を経てUV本硬化される。OCA(光学透明粘着テープ)を用いる場合、形状やサイズに合わせて抜き加工することで廃棄ロスが発生し、課題となっていたが、Jettable SVRは必要な量だけ塗布できるため、廃棄ロスを削減できる。
また、塗布の厚みを細かく連続的に制御するため、OCAでは困難だった、曲面ディスプレイなどの3D形状ディスプレイにも対応できる。四角形以外の形状にも塗布可能で、塗布形状をソフトウェア上で変更できるため、ディスプレイ変更時のハードウェアのメンテナンスが不要になる。
車載ディスプレイにも対応しており、同社は2022年1月に、本社の栃木事業所に車載ディスプレイ用の大型試作装置を導入した。顧客は、設備導入前に同装置を用いて試作、検討できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デクセリアルズが京都セミコンダクターを買収、微細加工と半導体設計の技術を融合
デクセリアルズは、日本政策投資銀行と共同で京都セミコンダクターの株式を取得し、子会社化することを発表した。京都セミコンダクターの半導体設計技術を生かし、高速通信やセンシング市場において新技術、新製品を共同開発する。 - 低抵抗で高透過率の透明導電フィルム、パナソニックがロールtoロール新工法で開発
パナソニック インダストリー社は2022年2月16日、低抵抗値と高い透過率を実現するメタルメッシュ方式の透明導電フィルムを商品化したと発表した。独自のロールtoロールでの両面一括配線工法を開発したことで可能としている。 - 色鮮やかな発光を示す液体材料ベースのデバイスを開発
早稲田大学は、色鮮やかな発光を示す液体材料ベースのデバイスを開発した。自由に形状を変形できるため、フレキシブルディスプレイの実用化に寄与することが期待される。 - コニカミノルタのディスプレイ用フィルムがジャンルトップを維持する秘訣
コニカミノルタが、新たな事業成長をけん引するインダストリー事業の一角をなす材料・コンポーネント事業について説明。ジャンルトップを維持するディスプレイ用フィルムや、モノづくりの高度化を可能にするインクジェットコンポーネントの強みなどを紹介した。 - レーザー加工とインクジェット印刷を組み合わせた片面FPCの受注開始
エレファンテックは、レーザー加工とインクジェット印刷技術を併用した片面フレキシブル基板「P-Flex PI」の受注を開始した。2つの技術を併用することで、量産性と微細化の両立に成功。今回、L/Sが100/100μmの製品をリリースする。 - インクジェットプリンタと同様に印刷可能な、抗原抗体検査向け光センサー
九州大学は、抗原抗体検査に利用できる、ラベルフリーの光センサーを開発した。熱処理を必要とせず、市販のインクジェットプリンタと同様の技術で印刷でき、家庭での簡易検査などへの応用が期待される。