ニュース
保護機能を多数搭載し、繰り返し使用可能な電子ヒューズを発売:組み込み開発ニュース
東芝デバイス&ストレージは、繰り返し使用可能な電子ヒューズの新製品「TCKE712BNL」の出荷を開始した。過電流保護など保護機能を多数備え、民生機器、IoT機器、サーバなどの電源ライン回路保護に利用できる。
東芝デバイス&ストレージは2021年2月2日、繰り返し使用可能な電子ヒューズ(eFuse IC)として、新たに「TCKE712BNL」を追加した。既に出荷を開始しており、ノートPC、ゲーム機、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)機器、スマートスピーカー、ロボットクリーナー、ネットワークサーバなどの電源ライン回路保護に利用できる。
電源ラインの回路が過電流状態となった時に、物理的に回路を遮断するガラス管ヒューズやチップヒューズなどと異なり、電子ヒューズは繰り返し使用可能で、過電流保護以外にもさまざまな保護機能を備えている。
新製品のTCKE712BNLは、外付け抵抗で閾値を調整できる過電流および過電圧の保護機能を内蔵し、ユーザーの用途に合わせてさまざまな電源ラインを保護する。また、短絡保護機能、過熱保護機能、異常発生時に外部へ伝達するFLAG信号出力機能なども搭載する。
OFF時の逆流防止機能を内蔵しており、同ヒューズを複数使用すると、電源ラインを切り替えるマルチプレクサにも応用できる。
入力動作電圧は4.4〜13.2V、動作出力電流は最大3.65A、オン抵抗は53mΩで、動作温度は−40〜+85℃。3.00×3.00×0.75mmのWSON10パッケージで提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コロナ影響から脱する東芝、デバイス&ストレージは回復もビルが不調
東芝が2020年度(2021年3月期)第3四半期業績について説明。第3四半期まで累計の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、売上高が前年同期比15%減の2兆995億円、営業利益が同61%減の2400億円、税引前損益が同1793億円改善の733億円の利益、当期純損益が同1892億円改善の436億円の利益となった。 - 躍進する東芝パワー半導体、生産能力向上のカギは増床とIoT活用
東芝デバイス&ストレージのディスクリート半導体の販売が好調だ。生産能力の増強を進めており、2021年度には売上高2000億円、営業利益率10%の実現を目指している。増床や生産性改善などを進めるディスクリート半導体の拠点「加賀東芝エレクトロニクス」(石川県能美市)の取り組みを紹介する。 - 「世界最小」のBLEモジュール、SASP技術の採用でサイズは4×10mm
東芝は、同社独自のSASP技術を搭載した小型のBluetooth Low Energyモジュールを開発し、サンプル出荷を開始した。ウェアラブルデバイス向けに、2022年の量産開始を計画している。 - 新開発の磁性くさびで誘導モーターの効率を向上、永久磁石モーターに迫る
東芝は、永久磁石モーターに比べて安価だが効率で劣る誘導モーターについて、構成部品を置き換えるだけで効率を大幅に向上できる独自の磁性材料を開発したと発表した。鉄道用の誘導モーターに適用したところ、従来比で0.9%増の95.8%に効率を向上できたという。 - 200m先を高解像にスキャンできるソリッドステート式LiDAR、東芝が新開発
東芝は2020年7月7日、非同軸型のソリッドステート式のLiDARにおいて、200mの長距離でも高解像度で画像スキャンを行えるようにする受光技術などを新たに開発したと発表した。LiDARは長距離測距と高解像度でのスキャン実行が両立困難だとされていたが、受光素子であるSiPMの小型化などを通じてこれらの課題を解決できる可能性があるとする。 - 少量多品種でも半導体の製品不良を高精度に検知できるAI
東芝は、半導体の製品不良を高精度に検知するAIを開発した。各製品のデータが少なくても複数製品のデータを1つの品質データとして統合して解析し、不良を高精度に分類するため、少量多品種の半導体製造における製品解析を効率化する。