コロナ影響から脱する東芝、デバイス&ストレージは回復もビルが不調:製造マネジメントニュース
東芝が2020年度(2021年3月期)第3四半期業績について説明。第3四半期まで累計の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、売上高が前年同期比15%減の2兆995億円、営業利益が同61%減の2400億円、税引前損益が同1793億円改善の733億円の利益、当期純損益が同1892億円改善の436億円の利益となった。
東芝は2021年2月12日、オンラインで会見を開き、2020年度(2021年3月期)第3四半期業績について説明した。第3四半期まで累計の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、売上高が前年同期比15%減の2兆995億円、営業利益が同61%減の2400億円、税引前損益が同1793億円改善の733億円の利益、当期純損益が同1892億円改善の436億円の利益となった。
税引前損益と当期純損益の大幅な改善は、前年度である2019年度にLNG事業の譲渡損失892億円を計上した影響と、キオクシアの持分法損益差の692億円が加わったことが主因となっている。これらを差し引くと前年同期比で減収減益になるが、第3四半期単体の業績はコロナ影響からの回復が鮮明になっており、売上高は前年同期比3%減の7281億円と微減となったものの、営業利益が同2倍の209億円、税引前利益が同35%増の424億円、当期純利益が同1892億円改善の436億円の利益となった。
実際に営業損益へのコロナ影響は減少傾向にあり、第1四半期が493億円、第2四半期が209億円、第3四半期が190億円とマイナス幅は小さくなっている。「第4四半期は、期ズレ案件の売上計上が集中することなども含めて大幅にコロナ影響が減少し、8億円のマイナスまで圧縮される見込みだ」(東芝 執行役上席常務の加茂正治氏)という。
第3四半期単体業績へのセグメント別のコロナ影響を見ると、デバイス&ストレージが89億円、ビルが42億円、東芝テックの事業が主体のリテール&プリンティングが26億円、エネルギーシステムが13億円、インフラシステムが6億円のマイナスとなっている。このうちマイナス幅が最大のデバイス&ストレージについては、システムLSI事業から撤退した半導体よりも、フィリピン工場がコロナ影響で稼働停止したことによる顧客認定遅れが響いたHDDの方が売上高減少の寄与が大きい。加茂氏は「デバイス&ストレージは第4四半期にさらに挽回するものとみている」と期待を込める。一方、厳しい状況にあるのがビルだ。第3四半期は案件延期や据付工事遅れなどが発生しており、第4四半期も回復するのは困難な状況である。
2020年度の通期業績見通しについては、各セグメントの状況を反映し、売上高が前回予想比200億円減の3兆700億円となるものの、営業利益は1100億円で据え置いた。また、税引前利益は同200億円増の1200億円、当期純利益は同200億円増の700億円となった。これは、第3四半期に実施した東芝ロジスティクス株式の売却益が想定より大きくなったためだ。
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