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東芝は「高い質の利益」目指す、再エネ中心のインフラサービスで売上高4兆円へ製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

東芝は、2020年度(2021年3月期)第2四半期(7〜9月期)の決算と中期経営計画「東芝Nextプラン」の進捗状況について説明。東芝Nextプランでは、2018〜2020年度で成果が得られたフェーズ1を継続しつつフェーズ2を推進するという2021〜2025年度の事業計画を発表した。

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 東芝は2020年11月11日、2020年度(2021年3月期)第2四半期(7〜9月期)の決算と中期経営計画「東芝Nextプラン」の進捗状況について説明した。2020年度上期の連結業績は、売上高が前年同期比20%減の1兆3714億円、構造改革費用や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を除いたコア営業利益が同37%増の811億円、営業利益が同94%減の31億円、税引前利益が同1323億円改善の201億円、当期純利益が同1486億円改善の35億円となった。

東芝の2020年度上期業績
東芝の2020年度上期業績(クリックで拡大) 出典:東芝

 COVID-19の業績への影響は期初の予想から大きな変化はないものの、デバイス&ストレージリテール&プリンティングが第2四半期から回復しつつある一方で、インフラ工事など設置作業を伴うビルやエネルギーシステムは売上計上が第3四半期以降に期ずれを起こしている。これらの影響を勘案して2020年度通期の連結業績予想は、売上高について前回予想から900億円引き下げて3兆900億円とし、コア営業利益2200億円、営業利益1100億円などの利益予想は据え置いた。

東芝の2020年度通期業績予想
東芝の2020年度通期業績予想(クリックで拡大) 出典:東芝

 東芝 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏は「稼ぐ力を示すコア営業利益は前年比で219億円増加しており、通期で2200億円という目標も達成できそうだ。東芝Nextプランは、2018年度からのフェーズ1で稼ぐ力を高めることに注力してきたが、仕上げの段階に入る。現在は、インフラサービスカンパニーとしての安定成長を目指すフェーズ2に着手するところだ」と語る。

最も重視している目標値はROIC

東芝の車谷暢昭氏
東芝の車谷暢昭氏

 会見では、2018〜2020年度で成果が得られたフェーズ1を継続しつつフェーズ2を推進するという2021〜2025年度の事業計画を発表した。2025年度の事業目標は、売上高が4兆円、コア営業利益と営業利益がともに4000億円、EBITDA(償却前営業利益)が5300億円、ROIC(投下資本利益率)が12%、ROE(自己資本利益率)が15%となる。2018年11月に東芝Nextプランを発表した際には、2023年度のターゲットとして売上高4兆円以上を掲げていたが2年後ろ倒しになる。

 これについて車谷氏は「前回発表での2023年度の4兆円はあくまでターゲットであり、フェーズ1を進めるための2021年度までの事業計画については順調に積み上げられている。社長就任からさまざまな取り組みを進める中で、フェーズ2で成長を進めるための方策が見えてきたこともあり、あらためて2025年度までの事業計画として今回の目標を発表した。最も重視している目標値はROICであり、高い質の利益が得られるようにしていく」と強調する。

2025年度の中期目標
2025年度の中期目標(クリックで拡大) 出典:東芝

 2021〜2025年度の事業計画でも、フェーズ1で積み重ねてきた収益力強化を進める。2018〜2020年度の3年間では、構造改革500億円、事業部間で連携するCFT(クロスファンクショナルチーム)活動800億円の合計1300億円の収益力強化を実現している。今後も2021〜2025年度の5年間で1300億円の収益力強化を目指すが、重視しているのはCFT活動で1000億円に積み増す。2018〜2020年度のCFT活動の800億円はほとんどが調達によるものだが、生産やエンジニアリングなど調達以外の割合を増やすことで実現する方針だ。

収益力強化の成果と見通しCFT活動の内訳 フェーズ1で注力した収益力強化の成果と見通し(左)とCFT活動の内訳(右)(クリックで拡大) 出典:東芝

 一方、非注力事業の撤退や子会社削減、人員適正化による構造改革は2021〜2025年度で300億円を見込む。「非注力事業の撤退はほぼ完了し、人員適正化も2020年度末までで子会社削減を含めて1万人を対象に実施している。今後はITシステムの刷新による業務のデジタル化が効率化の中心になるだろう」(車谷氏)という。

 なお、2021年度に向けて非注力事業としての検討を行う「モニタリング事業」には、システムLSI、HDD、火力、プリンティング(東芝テック)の4つがある。システムLSIについては2020年9月に撤退を発表している。車谷氏は「これによって半導体事業の営業利益率は、COVID-19レベルの市場縮小があっても営業利益率5%を確保できる収益力になった。汎用性がなく開発コストも高い先端LSIはROICを重視する方針にはそぐわなかった」と述べる。

2021年度に向けた半導体事業の状況
2021年度に向けた半導体事業の状況。システムLSIからの撤退で限界利益率が向上し、固定費を圧縮できた(クリックで拡大) 出典:東芝

 一方、HDDは生産設備投資と18TB品の開発などにより2020年第4四半期にシェア15%、2021年度にシェア20%超を目指しており、コア営業利益率も6%を確保している。火力事業も建設からサービスに事業をシフトすることで収益力を高める。サービス比率は2020年度で47%だが、2025年度には74%まで高める計画だ。なお、石炭火力の新規受注を停止する方針も明らかにされた。

HDD事業の状況火力事業の状況 HDD事業(左)と火力事業(右)の状況(クリックで拡大) 出典:東芝

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