成長への“フェーズ2”に入る東芝、インフラサービス企業への転換を加速:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
東芝は2020年6月5日、2020年3月期(2019年度)の決算と東芝Nextプランの進捗方向のオンライン説明会を開催し、「インフラサービス企業」への転換を本格化する方針を示した。
東芝は2020年6月5日、2020年3月期(2019年度)の決算と東芝Nextプランの進捗方向のオンライン説明会を開催し、「インフラサービス企業」への転換を本格化する方針を示した。
新型コロナの影響を除けば1年目の目標を達成
東芝の2019年度の業績は売上高が前年度比8%減の3兆3899億円、営業損益が同951億円増加し1305億円の利益、継続事業税引前損益が584円悪化の475億円の損失、当期純損益が1兆1279億円悪化の1146億円の損失となった。大きな損益悪化となっているが、東芝は経営再建の途上にあることもあり、純損益の悪化は、前年度決算にメモリ事業の事業売却益が含まれたことなど、一時的な要素が含まれていたことなどが要因としてある。
そのため、今回から経営再建の状況や「事業としての稼ぐ力」を明確に示すために、構造改革費用や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの一時的影響を除いた「コア営業損益」を経営指標として加えた。2019年度のコア営業損益は1616億円となり、前年度比811億円増加した。
東芝 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏は「COVID-19の影響を除けば、財務健全化を目指した東芝Nextプラン1年目の目標としていた売上高3.4兆円、営業利益1400億円、EBITDA2200億円の目標を超えることができた。財務健全化に向けた取り組みは継続するが、東芝Nextプランのフェーズ1の活動における成果は示すことができた」と述べている。
COVID-19の影響としては、中国向け半導体製造装置設置遅れやデバイスの需要減などが挙げられ、デバイス&ストレージ部門に対して、119億円の営業損益のマイナス影響を与えた。2019年度のCOVID-19の合計影響額は営業損益で203億円のマイナス影響となった。また、2019年度の営業外損益としては、キオクシアの持分法損益差で700億円、LNG事業の譲歩損失で892億円のマイナス影響が出たという。合計では1780億円のマイナスとなったという。
2021年3月期(2020年度)もCOVID-19の影響は大きく発生し、売上高で2800億円、営業損益で900億円のマイナス影響となる見込み。2020年度の業績は、売上高が3兆1800億円、コア営業損益は2200億円の利益、営業損益は1100億円の利益、当期純損益は500億円の利益を予想する。
東芝Nextプランの進捗状況
東芝では2018年11月に新たな経営の方向性を示す「東芝Nextプラン」を発表。2019年11月にアップデートをし、経営再建と財務健全化をベースとしたフェーズ1、成長への道筋を示すフェーズ2を発表し、それぞれの取り組みを進めてきた。
フェーズ1は、財務基盤の健全化や成長への土台を作る取り組みだ。具体的には、非注力事業からの撤退や子会社の削減などの構造改革や、原価率低減を目指した調達改革、営業コストやプロジェクト受注審査などを厳格化した営業改革、製品のモジュール化を進めたプロセス改革などを進めた。これにより、基礎収益力の強化を進めた。また、ポートフォリオ管理の高度化や課題事業モニタリングなどを行った他、ガバナンスの強化などにも取り組んだ。
構造改革としては、LNG事業や海外原子力建設からの撤退をした他、子会社64社の削減を行った。1237人の早期退職や生産拠点4カ所の再編も実施した。さらに、上場株式と不動産の売却や、物流や人材派遣、給与計算業務などの機能子会社の売却を行い約460億円の売却益を得たという。
これらにより、限界利益率は2018年度が32%だったのに対し2020年度は37%まで高まる見通しだ。また、固定費についても2018年度比で650億円下がる見通しだ。車谷氏は「フェーズ1としては順調に進んでいると考えている。2020年度もさらに加速して強固な収益構造に変えていきたい」と語っている。
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