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溶け残りの無い高品質な接合実現、EV用モーターステーターコイルに最適FAニュース

ダイヘンは、EV用モーターステーターコイルの接合に最適な溶接システム「PLASMA JET TIG」を開発した。狙いズレ裕度やギャップ裕度が広く、熱伝導性の高い材料でも溶け残りの無い高品質な接合ができる。

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 ダイヘンは2022年7月6日、高密度プラズマアーク溶接システム「PLASMA JET TIG(PJ-TIG)」を発表した。メーカー希望価格は1セット220万円(税別)で、同年9月より販売を開始する。

 PJ-TIGは、EVなどに使用されるモーターの主要構成部品である、モーターステーターコイルの接合に適している。同社製品「Welbee-TIG」シリーズに制御装置とPJ-TIG専用のトーチを組み合わせており、狙いズレ裕度やギャップ裕度が広く、溶け残りの無い高品質な接合が可能だ。

モーターステータコイル
モーターステーターコイル 出所:ダイヘン
「PLASMA JET TIG」専用トーチ外観
「PLASMA JET TIG」専用トーチ外観 出所:ダイヘン
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「PLASMA JET TIG」専用トーチ構成品[クリックで拡大] 出所:ダイヘン

 独自のトーチ構造が高速の気流を作り出し、TIG溶接よりエネルギー密度が高いアークとなる。また、短い溶接時間で、銅などの熱伝導性の高い材料でも高品質な溶接ができる。入熱範囲をレーザー接合よりも広くしたことで、平角銅線の接合部に生じる段違いやギャップなどに対する接合裕度が拡大。これにより、溶け残りの無い安定した接合ができる。

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レーザー溶接の場合(入熱範囲が狭く、角部が溶け残る) 出所:ダイヘン
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「PLASMA JET TIG」の場合(入熱範囲が広く、角部まで溶融) 出所:ダイヘン

 導入コストやランニングコスト、CO2排出量の削減にも寄与する。狙い位置を補正するセンサーや画像処理システムを必要としないため、平角銅線のレーザー接合システムと比較して、導入コストを約60%、ランニングコストを約80%削減できる。同社がモーターメーカー1工場の年間生産見込み台数を20万台として試算したところ、ランニングコストを年間2.7億円減額できるという。CO2排出量は最大85%削減する。

 また、これまでのTIG溶接では必要だった電極の研磨と交換を、PJ-TIGでは自動化するため、タクトタイムをレーザー接合と同程度に短縮できる。材質は銅のほか、亜鉛めっき鋼板、鉄、ステンレス、アルミ合金、マグネシウム合金、チタンなどに対応する。

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