マルチマテリアルを高品質に接合する溶接システムを開発:産業用ロボット
ダイヘンは、EVなどに活用されるマルチマテリアルを高品質に接合する溶接システム「シンクロフィード・エボリューション」を発表した。スパッタを最大99%削減し、2つの新制御により、適用材料の拡大や美しいビード外観形成が可能になる。
ダイヘンは2022年2月16日、EV(電気自動車)などに活用されるマルチマテリアルを高品質に接合する溶接システム「シンクロフィード・エボリューション」を発表した。価格は、同社の産業用ロボット「FD-B6」とセットで850万円となる。
シンクロフィード・エボリューションは、極低スパッタ溶接システム「シンクロフィード溶接システム」の次世代モデル。出力と使用率の高さで生産性を向上できる。50〜450Aと幅広い電流域でスパッタを極めて少なくしており、最大99%削減する。高電流溶接にも対応し、多彩なモードで各種材質に利用できる。400Aでの使用率は100%を達成しており、連続溶接が可能だ。
新たに備えた「プッシュアークプロセス」制御では、ハイテン材の加工において、美しく平らで幅広いビードを形成できる。ギャップ裕度と狙いずれ裕度も向上し、加工対象の精度にばらつきがあっても安定して溶接できる。
また、亜鉛めっき鋼板のブローホールを低減するほか、くびれ予測によるスパッタ抑制学習機能を搭載しており、複数台を同時に溶接する際のスパッタを大幅に抑制しつつ、生産性向上にも寄与する。
もう1つの新制御「シンクロフィードパルス」では、周波数とパルス期間の自在な調整に対応。外観の品質が要求される製品で、美しいビード外観を形成できる。
セットアップや保守管理もしやすくなった。制御ケーブル類をコンポジット化したことで、接続作業時間が95%短縮している。オートクリーニング機能も搭載しており、ワイヤ送給部の清掃回数を90%削減する。
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