ZA系マグネシウム合金材を使用した異形圧延製品を共同開発:材料技術
日本金属は、室温成形性と強度に優れ、熱伝導率が高い「ZA系マグネシウム合金材」を使用した異形圧延製品を共同開発した。製品の断面形状、あるいはそれに近い断面形状で提供できるため、加工工程、資源、コストの削減に寄与する。
日本金属は2022年6月9日、室温成形性と強度に優れ、熱伝導率が高い「ZA系マグネシウム合金材」を使用した異形圧延製品を発表した。同社が有する異形圧延の技術とCAEを活用し、顧客の多様なニーズに応える。
ZA系マグネシウム合金材は、産業技術総合研究所、不二ライトメタルと共同で開発した、軽量性と高い熱伝導率を両立する材料だ。これまでに培った異形圧延の技術を活用することで、ZA系マグネシウム合金材を異形圧延材として加工できることを確認した。
異形圧延は、帯板の圧延に3次元的な要素を合わせ、上下左右方向から圧延し、異形断面の形状を量産する技術だ。これまで切削加工が必要だった箇所を顧客側でプレス加工することにより、そのまま目標形状にできるため、切削くずなどが抑えられる。
ZA系マグネシウム合金材を使用した異形圧延製品は、製品の断面形状、あるいはそれに近い断面形状で提供できる。そのため切削工程の簡素化、プレス工程の改善が可能になり、加工工程が大幅に削減する。切削くずなどが減ることで、省資源化やコストの削減にもつながり、原材料から加工まで環境に配慮したエコプロダクツといえる。
対応サイズは板厚が最大2.5mm、板幅が最大100mm。定尺切断品の他、レコード巻きやオシレート巻きなどの形態で提供する。アルミ合金よりも軽く、放熱性が高い材料のため、適用の拡大が期待できる。同社は今後、EV関連用途向けに、異形圧延技術を銅やチタン、ニッケルなどにも適用していく。
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