100%再生プラスチック製の自転車を開発、igus:ハノーバーメッセ2022
モーションプラスチック製品や可動ケーブルなどを展開するドイツのigusは世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2022年5月30日〜6月2日)において、開発を進める100%プラスチック製自転車「igus:bike」のコンセプトを公開した。
モーションプラスチック製品や可動ケーブルなどを展開するドイツのigusは世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2022年5月30日〜6月2日)において、開発を進める100%プラスチック製自転車「igus:bike」のコンセプトを公開した。オランダの自転車スタートアップMTRLと共同で開発しているもので、金属部品および潤滑油を一切使用しないため、さびの心配もなく、メンテナンスフリーで使用できるという。通常のプラスチック製の他、100%再生プラスチック製のモデルも開発しており、いずれも2022年末の販売を目指している。
100%プラスチック製自転車「igus:bike」(左)について語るigus最高経営責任者(CEO)のFrank Blase氏。右の自転車はMTRLが既に販売しているフレームやホイールが再生プラスチック製の自転車[クリックで拡大]
「全てがプラスチック製であり、ギアに至るまでさびの心配はない。プラスチック製の自転車用ギアは、これまで考えられなかった」――。同自転車を発案したigusの最高経営責任者(CEO)、Frank Blase(フランク・ブラーゼ)氏はこう語る。同氏がこのアイデアを思い付いたきっかけは、休暇で訪れたビーチで、砂や潮風にさらされ続けるため3カ月程度でメンテナンスが必要になるビーチバイクの話を聞いたことだという。
産業機器や自動車などの可動部に使われるベアリングやケーブルといったさまざまなモーションプラスチックを手掛ける同社は、既にプラスチック製のフレームとホイールを備えた自転車の販売をしていたMTRLと協力。特に車輪およびペダルのベアリング、ブレーキ、クランク、ギアなどの可動部について、その技術とノウハウを活用した部品を開発。同社のモーションプラスチックは、軽量かつ高い耐久性を備えるほか、固体潤滑剤の添加によって潤滑油も一切不要となるのが特長なことから、100%プラスチック製でメンテナンスの必要もない自転車の実現が可能となるという。
さらに、センサーを搭載したigusの「スマートプラスチック」を用い、問題なく走行可能な残り距離の確認や状態の監視を可能にすることも検討しているといい、「実現すれば、プラスチックに懐疑的な多くの人を納得させることができるだろう」(同社)としている。
MTRLは2022年末までに同自転車の生産/販売を開始し、価格は通常のプラスチック製は1200ユーロ、漁網などをリサイクルした再生プラスチック製は1400ユーロとなる予定。価格は未定だが子供用モデルも販売するほか、電気自転車などのバージョンも計画しているという。
会場でigus:bikeについて語ったBlase氏は、プラスチック廃棄物による環境汚染などの問題に触れたうえで、特に再生プラスチック100%の製品を実現することの意義を強調。「世界中のごみ捨て場にあるプラスチックは、貴重な資源となっていくだろう」と語った。
igusはこのigus:bikeをプラットフォームとして展開し、世界中の自転車メーカーにプラスチック製自転車製造のための技術を共同で発展させる機会を提供するという。
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