三菱電機の品質不正が3倍増の148件に、調査完了も2022年秋まで延期:品質不正問題(2/2 ページ)
三菱電機は、2021年6月末に判明した一連の不適切検査に関する調査報告書の第3報について説明するとともに、同年10月に発表した「品質風土」「組織風土」「ガバナンス」から成る3つの改革の取り組み状況を報告した。品質不適切行為の件数は、第1報、第2報で判明した47件に、今回の第3報で101件が加わって累計148件となり3倍に増加した。
「品質不正対策にはエンジニアリングも必須」
品質不正に関する調査は完了していないものの、2021年10月に発表した「品質風土」「組織風土」「ガバナンス」から成る3つの改革は着実に進めていく方針である。漆間氏は、会見で進捗状況を説明した。
施策の中で唯一「完了」としているのが「品質保証に関する指揮命令系統の製造拠点からの分離・独立」である。2022年4月に、本社管轄の品質改革推進本部と品質保証監理部を全ての製作所に新設し、出荷権限などを付与して運用を開始している。この品質改革推進本部を管掌する品質担当執行役(CQO)には、日産自動車で品質担当役員を務めていた中井良和氏が就任している。中井氏は、本社主導の新たな品質保証体制の構築に向けた2年間で300億円以上の投資について「8割以上は、検査の自動化や検査データの自動取り込み、トレーサビリティー強化などに充てる方針。品質不正対策は、もちろん3つの改革が重要だが、エンジニアリングも必須だ」と強調する。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するCDOとしてパナソニック出身の榊原洋氏が加わるなど、執行役陣に社外出身者を入れることで“内向き”とされる三菱電機の風土を経営陣から変えて行きたい考えだ。取締役候補も、中外製薬 特別顧問の小坂達朗氏とヤマハ発動機 顧問の柳弘之氏を社外取締役として選任している。小坂氏と柳氏の2人が加わることで取締役の過半数以上となるため、ガバナンス改革の一助になるだけでなく、両氏は自社で製造を担当していた経歴もあることから、問題になっている品質不正への対処に向けた貢献も期待されている。
調査が完了していないこともあり、3つの改革の完了時期については明言しなかったが、2021年4月に6つの方針と施策の方向性から成る「骨太の方針」を発表した組織風土改革については「2025年度を目安に、新しい文化が定着し、つながりあい、自走する組織へと変革するまで活動を継続する」(漆間氏)とした。
これらの他、2022年4月からの経営体制として、9つの事業本部のうち関わりの深い事業本部で横串を通した連携を推進するため「インフラ」「インダストリー・モビリティ」「ライフ」「ビジネスプラットフォーム」という4つのビジネスエリア(BA)を設けた。各BAには、中長期視点で企業価値最大化に取り組むBAオーナーを新たに配置し、横串機能の強化を通じて拠点単位、事業本部単位で内向きと指摘されている組織風土の変革にもつなげていくとしている。
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