三菱電機が品質不正の再発防止に向け「骨太の方針」を策定、組織風土改革へ:製造マネジメントニュース
三菱電機が品質不正の再発防止策として取り組みを進めてきた3つの改革のうち「組織風土改革」の指針となる「骨太の方針」を策定した。2022〜2025年度にかけて具体的な施策を計画的に実行しながら、「骨太の方針」に基づく組織風土が新しい企業文化として定着するまで継続していくという。
三菱電機は2022年4月8日、品質不正の再発防止策として取り組みを進めてきた3つの改革のうち「組織風土改革」の指針となる「骨太の方針」を策定したと発表した。同月から、「骨太の方針」を策定した「チーム創生」を中心に実行フェーズに入り、2022〜2025年度にかけて具体的な施策を計画的に実行しながら、「骨太の方針」に基づく組織風土が新しい企業文化として定着するまで継続していくという。
同社は、品質不正の再発防止を含む信頼回復に向けて「品質風土改革」「組織風土改革」「ガバナンス改革」の「3つの改革」に取り組んでいる。「組織風土改革」については、最優先の課題として「上にものが言える風土」「失敗を許容する風土」「共に課題を解決する風土」の醸成を掲げ、同社 執行役社長 CEOの漆間啓氏をプロジェクトリーダーとして、社内公募で選ばれた45人の若手、中堅従業員の有志メンバーからなる全社変革プロジェクト「チーム創生」を2021年10月に立ち上げ、3つのステップで議論・検討を重ねてきた。
2021年10〜12月のステップ1では、各拠点に所属する302人のサポートメンバーの協力も得て、グループ内従業員、延べ8631人へのアンケートおよび2379人へのヒアリングを行い、全社の課題を幅広く抽出し、品質不正の原因や真因の究明を行った。2022年1〜2月のステップ2では、全社共通的なテーマに分類して解決策を検討し、2022年2〜3月のステップ3では全経営陣および全従業員への提言として、今回の「骨太の方針」を策定した。
「骨太の方針」は、「劣化している風土を改善する施策(マイナスからゼロへ)」と「新しい風土を築く施策(ゼロからもっと素晴らしい明日へ)」を大きな枠組みとして、それぞれで3つずつ、合計6つの方針と施策の方向性をまとめた。また、「私(me)から変わる、そして、三菱電機グループ(Mitsubishi Electric)を変える。自分ができること、三菱電機グループができることをひとつずつやっていこう!」という改革への思いを込め「Changes for the Better start with ME」をスローガンとして設定した。
2022年度の具体的な実行内容としては、前向きで双方向なコミュニケーションの活性化に向けて、役職によらず「さん」付けによるフラットな関係づくりを行い、1on1ミーティングの段階的導入などによるコミュニケーション改革に即時着手、実行していく。三菱電機の共通価値観の策定や、DX(デジタルトランスフォーメーション)による本質的業務への注力および人の成長を促す人事評価制度への見直しなどにも順次取り組んでいくとしている。
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