日本でも電動バイクがバッテリー交換式で利用可能に、二輪4社とENEOSで新会社:電気自動車(2/2 ページ)
ENEOSホールディングスとホンダ、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機は2022年3月30日、オンラインで会見を開き、電動バイク向けのバッテリーシェアリングサービスとインフラ整備を手掛ける新会社を設立すると発表した。
新会社では、二輪車メーカー4社の共通仕様のバッテリーが電動バイク以外でも利用されるよう促進していく。また、消耗したバッテリーはENEOSが検討する「BaaS(Battery as a Service)」を通じてリユースしていきたい考えだ。ガチャコに全てリユースを任せるのではなく、日本自動車工業会としてもリユースやリサイクルを検討していく。
交換式バッテリーで先行するホンダの取り組み
交換式バッテリーの利活用について、日系二輪車メーカー4社の中で先行しているのはホンダだ。モバイルパワーパックを搭載したモビリティの走行距離は、合計で100万kmに上る。気温の高さなど厳しい使用環境となる地域での実証実験を通じて、モバイルパワーパックの性能や耐久性、交換のユーザビリティ、バッテリーの管理、バッテリーを交換するステーションの立地などを検証した。
電動モビリティの導入以外にも、フィリピンでは夜間の電力需要減少に伴う風力発電の出力抑制を解消することを目指した実証実験を実施。インドネシアでは小規模な水力発電で自給自足する山村部で、持ち運べる電源としてのメリットを確認した。
リユースに向けた取り組みも進めている。現在、インドネシアやフィリピンの実証実験で使用したモバイルパワーパックを回収し、中古バッテリーとしての使用テストを行っている。また、モバイルパワーパックの用途を拡大するため、除雪機や船外機、マイクロショベル、自動配送ロボットなど、電動バイク以外のモバイルパワーパック対応製品も企画している。定置用もしくは移動型の電源としての活用も提案する。マイクロショベルは、コマツがモバイルパワーパック搭載モデルのレンタルを日本国内で2022年3月から開始した。
実証実験では、料金体系によって交換頻度や充電率(SOC、State Of Charge)をコントロールできる可能性も判明した。料金設定によって電池にとってハードな使い方を抑制できれば、リユースの時点でのモバイルパワーパックの品質を安定させられると見込んでいる。
中古のバッテリーの品質を安定させるには、どのように使われたかを把握するバッテリーマネジメントシステムも重要だ。モバイルパワーパック側にバッテリーマネジメントシステムを搭載し、充電で戻されたときに交換ステーションからクラウドに使用状況をアップロードする仕組みを確立。モバイルパワーパックには、電圧や電流の制御、放電停止機能、セルの状態推定や不具合の判断、セルの常時監視といった機能を持たせるとともに、過放電や過充電などのアラートを記録するための大容量メモリを搭載した。
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