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統合効果で国内トップへ、高付加価値プリント配線板のOKIサーキットテクノロジー製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

OKIの子会社で、高付加価値プリント配線板(PCB)の設計と製造を行うOKIサーキットテクノロジーとOKIプリンテッドサーキットは2021年4月に統合し、新生OKIサーキットテクノロジー(以下、OTC)としてスタートを切った。OTC 代表取締役社長の森丘正彦氏に話を聞いた。

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それぞれの装置やシステムを共通化

MONOist 逆に統合における現状の課題についてはどう考えていますか。

森丘氏 開発や製造面での鶴岡と上越の相乗効果を生み出すことにも取り組んでいるが、現状ではまだそれぞれの手法や製造装置、システムなどが異なり、これらを統一していく必要がある。もともと、上越はOKIの工場だったが、鶴岡は田中貴金属からの買収によりOKIグループとなった経緯もあり、これらがバラバラで一元的な運営や管理ができない。現在は相互交流を進めながら、統一できるところから整備していっているところだ。生産革新活動やQC活動などについては、お互いに乗り込んでそれぞれで気付いた点を指摘し合うような活動を進めている。実際にこうした相互交流の仕組みから新たな改善が進んだケースも生まれつつある。

 また、新たに入れる設備については、基本的には共通の仕様で導入を進める計画だ。例えば、上越では2019年にエッチングラインを新たに立ち上げ2021年11月には2本目のラインを増設したところだが、鶴岡でも増強する計画がある。2022年の1〜2月に立ち上がる予定だが、これは上越で増設したものと仕様を合わせ、円滑に立ち上げが進んでいる。逆に穴埋め設備については、鶴岡で先に導入したものに、上越が合わせる形で2021年11月に導入した。これも立ち上げ期間を大幅に短縮できた。

 これらの取り組みを進めることで、将来的には2つの工場をあたかも1つの工場であるかのように有機的に稼働できるような仕組みを構築していくつもりだ。そのためには、上流の設計開発などの領域でも統合を進めていく他、生産システムを含む各種ITシステムについてもそろえていく。

「2つの工場をあたかも1つの工場のようにする」

MONOist 「2つの工場をあたかも1つの工場のようにする」というのはどういうことでしょうか。

森丘氏 工場の立地は分かれているが、一元的に管理を行い、生産リソースを融通しながら、人の配置や作業の振り分けなどを行っていくような仕組みだ。ただ、先述したような製造面での装置、手法、ITシステムなどが共通の仕組みにならなければ難しい。製造の仕組みが違えば、最適な製品を作るためには、専用の設計が必要になるからだ。まず、この製造面で共通化できる面を増やしていくということがポイントだ。

 このアウトプットを生み出す仕組みが共通化できれば、同じ設計情報を与えれば同じアウトプットが出るという形になる。そのため、1つの工場のようにリソースの融通が付けられるようになる。そのため、生産システムの統合についても準備を進めており、2022年度(2023年3月期)から本格的に着手に入る。その後3年程度をかけて統合したいと考えている。保全の仕組みや保守パーツの在庫の仕方も共通化していく。これらの取り組みも2022年度から行う。

MONOist 統合効果も含めて、今後伸ばしていきたい領域はありますか。

森丘氏 1つは航空宇宙領域だ。鶴岡では以前からJAXA認定を取得していたが、統合効果なども生かしてもう少し幅を広げられると考えている。そしてもう1つ期待するのが、半導体製造の領域だ。半導体関連はシリコンサイクルがあったため、安定した経営を行うために比率をあまり高めないようにしてきたが、世界的な半導体不足が顕在化する中で、半導体製造装置や検査装置の需要も急速に高まっており、これらで必要な多層基板の引き合いなども増えている。基本的には国内企業からの引き合いが中心だが、海外企業からの引き合いも増えており、こうしたニーズに応えていくことでさらに伸ばせると考えている。

MONOist 今後の目標は?

森丘氏 まずは統合を順調に進めていくということが目標となる。ただ、中長期で見た場合、顧客にとってのテクノロジーパートナーになることが目指す姿だ。顧客が1社で実現できないものを、一緒に知見を活用し、技術開発を行いながら実現する。そういう位置付けの企業になれるようにしたい。

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