まずは動くものを作って見せる、4代目サイトリーダーが語る大和研究所の製品開発:デザインの力(2/2 ページ)
レノボ・ジャパンは「ThinkPadシリーズ」の開発拠点であり、次世代PC開発の要である「大和研究所」の新サイトリーダー着任に伴い、記者説明会を開催。新サイトリーダーを務める同社 大和研究所 執行役員 Distinguished Engineerの塚本泰通氏が、大和研究所の全体概要やイノベーション創出に向けた取り組みなどについて紹介した。
中長期的なイノベーションを視野に取り組む「Innovation Pipeline」
大和研究所では顧客の声、技術トレンド/シード、レノボの企業戦略を起点とし、開発チーム主導の製品/ビジネス開発サイクルを推進して、顧客が抱える潜在的課題に対応するソリューションを技術力で実現していく「Lenovo Innovation Pipeline」に取り組んでいる。特徴的なのは、中長期的なイノベーションを見据えて、開発チームが自発的にアイデア創出に取り組むとともに、まずプロトタイプを作って検証するというアプローチだ。そして、実際に出来上がった“動くプロトタイプ”を使ってみて、良い点や改善点などを明確化した上で製品化につなげ、イノベーションを高い品質で顧客に届けるという活動を行っている。
記者説明会では、Lenovo Innovation Pipelineのサイクルから生まれた製品例として、「ThinkPad X1 Nano」や「ThinkPad X1 Titanium」の実際に動作するプロトタイプなどを披露した。
「これらはマーケティング部門などから要望があって生まれた製品ではなく、大和研究所の中でこういったことができるのではないか? というところから考え、紙の企画書ではなく実際にプロトタイピングして動くものを作って見せて、製品化へつなげるボトムアップ型のアプローチで実現したものだ。このように、大和研究所からこういう製品はどうか? と提案して製品化につなげるケースも多くある。われわれ大和研究所はLenovo Innovation Pipelineを重視してモノづくりに取り組んでいる」(塚本氏)。また、実際に製品として実現するものの他にも、マテリアルや基板の小型化など、さまざまなPoC(概念実証)や研究開発にも取り組んでおり、表には見えていないが実は多くの製品の中に大和研究所から発案された要素技術が組み込まれているという。
さらに、大和研究所のThinkPadに対するデザイン思想について、塚本氏は「まず、ぱっと見たときに誰が見てもThinkPadだと分かることを大事にしていきたい。仮に色が変わっても、赤色のトラックポイントがあって、天板部分のロゴ部に赤色のLEDが点灯してというのはおそらく変わらないだろう。その中でどうやっていろいろなバリエーションに対応していくか、モダナイゼーションしていくかというところをこだわっていきたい」と語る。なお、2022年のThinkPad誕生30周年に向けて「今まさに30周年目に出す製品を開発している」(塚本氏)とのことだ。
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