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雨に耐えるダンボールテントは再組立も可能、東洋製罐が“捨てる”を意識し開発イノベーションのレシピ(2/2 ページ)

東洋製罐グループが被災地から観光地までさまざまなシーンで活用できる組立式ダンボールテント「DAN DAN DOME」を開発。4畳半(江戸間)ほどの広さと大人が立っても頭がぶつからない十分な高さを持つドーム型テントで、東洋製罐グループの技術力を生かした直感的な組立作業や降雨に耐え得る耐水性などが特徴だ。

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“捨てる”ところからテントをデザインした「DAN DAN DOME」

東洋製罐グループの中村琢司氏
東洋製罐グループの中村琢司氏

 1917年創業の東洋製罐グループは、売上高7931億円、社員数1万9307人を誇る世界有数の包装容器メーカーだ。国内シェアは、缶40%、ペットボトル25%、紙コップ60%、びん30%、キャップ60%となっている。同社は社会課題解決への貢献とより豊かな社会の実現を目指すプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」を進めており、その一環として開発したのがDAN DAN DOMEになる。

 同社 グループ技術開発機能統轄・イノベーション推進室長の中村琢司氏は「かつてコンビニエンスストアが一般的になる前、自動販売機で購入した飲料の使用済み容器がごみ化して社会問題になったときリサイクル協会を立ち上げるなどして、リサイクルに注力した。ある意味でサーキューラーエコノミーの走りだったかと思うが、社会の変化などもあってリサイクルも新たな難しさが生まれつつあり、取り組みに見直しが必要になっている。今回のDAN DAN DOMEはダンボールの“捨てる”という要素に着目したプロダクトになる」と語る。

 今回、DAN DAN DOMEの開発を担当したのは東洋製罐グループ傘下の日本トーカンパッケージだ。同社 包装開発センター長の佐藤康博氏は「東洋製罐グループは100年以上“包む”ことに真剣に向き合ってきた会社だ。当社でも、ダンボールという素材を使って、顧客の製品に最適な包装を実現することに注力してきた。一方で、包装容器は最終的には捨てられる運命が待っているので“捨てる”ことも重要な要素になる。今回のDAN DAN DOMEのは、“捨てる”ところからテントをデザインした」と強調する。

NPO法人 フィールドアシスタントの村上祐資氏
NPO法人 フィールドアシスタントの村上祐資氏

 DAN DAN DOMEの開発では、NPO法人 フィールドアシスタント 代表で極地建築家の村上祐資氏が協力した。村上氏はこれまでも、プラスチックダンボール製のテントである「DOKO DEMO DOME」や「DARE DEMO DOME」などを開発し、さまざまな極地や被災地に提供してきた。村上氏は「私自身はこれまでさまざまな極地に自ら望んで訪れてきた。しかし、2015年に支援で訪れたネパール地震の被災者は、望まぬ形で極地に身を置くことになった人々だった。そこで、私自身の極地における知見を基に、被災者の支援に役立てたい思いでプラスチックダンボール製のテントを開発した」と述べる。

 村上氏と東洋製罐グループが接点を持ったのは2019年で、DAN DAN DOMEの開発は2020年12月にスタートした。今回の発表まで約8カ月を要したことになる。日本トーカンパッケージの佐藤氏は「通常のダンボール包装の開発期間は顧客の発注から約1週間、長くても1カ月程度になる。DAN DAN DOMEの開発でも、2021年2月にはプロトタイプの第1号モデルは完成しており、そこからはラインアップ拡充やブラッシュアップの期間になる。コロナ禍での開発になったが、そのことで開発期間に大きな影響はなかった」と説明する。

 東洋製罐グループの事業はほとんどがB2Bだが、今回は一般ユーザーへの販売も想定するB2C製品となる。DAN DAN DOMEの販売は、当初は紙コップなどを扱う子会社であるサンナップのECサイト経由で行いつつ、他社との協業なども検討していく方針だ。

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