協働ロボットハンドにエアーアタッチメントなどのオプション追加、用途を拡充:協働ロボット
ASPINA(シナノケンシ)は2021年7月1日、2019年に参入しラインアップ拡充を進めているロボットハンドにおいて、エアーアタッチメントや固定爪、平行リンク爪、幅広爪などの交換オプションを新たに投入することを発表した。
ASPINA(シナノケンシ)は2021年7月1日、2019年に参入しラインアップ拡充を進めているロボットハンドにおいて、エアーアタッチメントや固定爪、平行リンク爪、幅広爪などの交換オプションを新たに投入することを発表した。これらのオプション製品には、既に販売しているロボットハンド「ARH350A」と、販売済みの「ARH305A」と同等機能である「ARH305B(新機種)」で対応可能としている。
ASPINAでは独自の高精度モーター技術などを生かし2019年から協働ロボットのハンド市場に参入。把持力が5N(ニュートン)の電動3爪ハンド「ARH305シリーズ」や50Nの「ARH350A」などの製品群を展開してきた。
ただ、金属加工や精密部品組み立て、食品、化粧品、医薬品、物流分野などで、1つのハンドでさまざまなモノをつかむことを目指して提案を進める中で、既存の3爪だけではカバーできない領域があることから、新たにニーズに応えるオプション製品の整備を進めることにした。具体的にはエアーアタッチメントや固定爪、平行リンク爪、幅広爪などのオプション製品を用意した。
エアーアタッチメントについては、同社のロボットハンドの特徴である中空構造を生かし、ロボットハンド本体を貫通して実装できるエアーアタッチメントを提供する。3爪と同時に使用できるため、エアーで吸引把持したワークを爪で保持するような使い方が可能だという。製造業界や物流業界の開梱や梱包、出荷工程、箱出し、箱入れなどでの活用を期待しているという。
固定爪は、爪の交換により、通常は3爪のハンドを2爪に変更できるものだ。ワーク形状が四角形状などの場合に、2爪把持をする方が安定する場合に有効となる。 幅広爪は、一回の把持で複数のワークをつかむケースや大きくて不定形なワークに適しており、工業製品、部品、材料や食料品の中でも、形の整っていないものの把持が容易になる。平行リンク爪は、通常は円弧移動をする爪を、接触面に対し平行に移動する動きに切り替えることができるものだ。ワークと接触する面が一定になるため、標準爪よりストロークは狭くなるものの円筒部品や円形状の蓋などで、安定した把持が可能となる。
ロボットを活用する領域は拡大しつつあるものの、使用環境は個々に異なっており、ロボットハンドはインテグレーターが個別で開発するものが多かった。ただ「サービスロボットなどロボット市場が今後さらに拡大する中で、最大公約数的な標準品を使うケースも増えてくると見ている。今後の市場拡大に合わせてニーズに応えるラインアップをそろえていく」(シナノケンシ)としている。現状の販売台数は「シリーズ合計で数百台程度」(シナノケンシ)だとしているが、今後は早期にシリーズ合計で年間1000台の販売を目指すという。
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