OKIの本庄工場がAIエッジ×ローカル5Gでスマート化、工場版ZEBも実現へ:ワイヤレスジャパン2021(2/2 ページ)
OKIは、「ワイヤレスジャパン2021」において、本庄工場(埼玉県本庄市)に導入しているAIエッジとローカル5Gを組み合わせた「外観異常判定システム」を披露。同工場は、敷地内にあるITSテストコースでもローカル5Gを用いた実証試験が可能になっている他、消費する一次エネルギーの収支をゼロにする新工場を2022年4月に稼働させる予定だ。
「フライングビュー」がロボットや自動運航船に採用
OKIがワイヤレスジャパン2021で注力していた展示の一つが俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー」である。フライングビューは、複数台の魚眼カメラと映像合成部、表示部で構成されるシステムで、カメラの映像から周囲360度の俯瞰映像を合成し、任意の視点から見ることができる。「俯瞰自由視点できれいな映像を生成できることが最大の特徴で、モビリティをさまざまな角度から見ることができる」(OKI 部門長 ソリューションシステム事業本部 DX事業推進センターの浜口雅春氏)という。
2021年3月には、日本航空(JAL)が羽田空港でトライアル運用中の遠隔操作ロボット「JET」にフライングビューを搭載した実証実験の結果を発表。今回の展示では、海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)が開発に取り組んでいる自動運航船向けの「船舶用俯瞰映像システム」について紹介した。2022年3月末をめどとする実証実験では、うみそら研の海上技術安全研究所(海技研)が管理する小型実験船「神峰」(広島県因島付近を航行)と、海技研構内(東京)に設置されたコックピットをモバイル回線で結び、「神峰」に搭載された「フライングビュー」が送る周辺映像をコックピットで確認しながら、遠隔監視・遠隔操船を実施する。
浜口氏は「これまでのフライングビューの事業はPoC(概念実証)ベースで進んでいたが、ロボットや船舶などの用途で実用化に向けた動きが活発になっており、2021年度はより具体化させていきたい。また、俯瞰映像を見せるフライングビューと組み合わせる形で遠隔操作支援ソリューションの提案も強化する。ロボットや船舶などの遠隔操作は、1人のオペレーターで複数台を管理することが目標になるが、当社の遠隔操作支援ソリューションはそこで役立てられるはずだ」と述べている。
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