OKIの本庄工場がAIエッジ×ローカル5Gでスマート化、工場版ZEBも実現へ:ワイヤレスジャパン2021(1/2 ページ)
OKIは、「ワイヤレスジャパン2021」において、本庄工場(埼玉県本庄市)に導入しているAIエッジとローカル5Gを組み合わせた「外観異常判定システム」を披露。同工場は、敷地内にあるITSテストコースでもローカル5Gを用いた実証試験が可能になっている他、消費する一次エネルギーの収支をゼロにする新工場を2022年4月に稼働させる予定だ。
OKIは、無線通信技術の展示会「ワイヤレスジャパン2021」(2021年6月2〜4日、東京ビッグサイト青海展示棟)において、本庄工場(埼玉県本庄市)に導入しているAI(人工知能)エッジとローカル5Gを組み合わせた「外観異常判定システム」を披露した。同工場は、敷地内にあるITS(高度道路交通システム)テストコースでもローカル5Gを用いた実証試験が可能になっている他、消費する一次エネルギーの収支をゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ファクトリー」を実現した新工場を2022年4月に稼働させる予定だ。
今回展示した外観異常判定システムでは、カメラで撮影した検査対象の部品や製品の高精細映像を、OKIのAIエッジコンピュータ「AE2100」で解析することにより、リアルタイムで製品の外観異常の自動判定を行う。工場の組立工程における作業ミスの有無を部品や製品の外観を目視してチェックする検査工程は、熟練者の技術や経験への依存度が高く、そのノウハウや技術のデジタル化による継承が喫緊の課題だったが、外観異常判定システムは検査対象の部品・製品の映像データに対し熟練者の「目」や「知(ノウハウ)」に値するAI分析を行えることが最大の特徴になる。OKIは、同システムの販売を2021年6月2日に開始しており、今後3年間で10億円の売り上げを目指すとしている。
本庄工場の通信機器製造ラインでは、この外観異常判定システムとローカル5Gを組み合わせた実証実験を実施した。高精細映像をローカル5Gネットワークで伝送し、AE2100で映像解析して即座に作業者に結果を通知することで、作業ミスの見逃し“0”化とともに、製造工程全体の作業時間を15%削減する効果を確認したという。
OKI 執行役員(DX/イノベーション統括) 兼 ソリューションシステム事業本部 副本部長 兼 金融・法人ソリューション事業部長の田中信一氏は「本庄工場での実証実験を通して、AIエッジとローカル5Gのマッチングの良さを実感している。ローカル5Gは導入コストが高くなるイメージが強いが、小さなエリアで生産性や品質を向上する用途で活用するのであれば、それほど高くはならないのではないか」と語る。
本庄工場に備えられているローカル5Gの実験試験局は、工場内でのモノづくりだけでなく、敷地内のITSテストコースにおける自動運転支援への適用性の確認などでも活用されている。さらに、2022年4月に稼働する新工場は、大成建設との協力によって工場版ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)であるネット・ゼロ・エネルギー・ファクトリーとなる計画だ。「脱炭素を含めて本庄工場のスマート化を推進し、ショーケースとして展開できるようにしていきたい」(田中氏)という。
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