NECは“特需”追い風に想定より減収幅縮小、2025年の中期経営計画も発表:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
NECは2021年5月12日、2020年度の決算と2025年度に向けた中期経営計画を発表した。「GIGAスクール構想」やリモートワークの推進が追い風となり想定より減収幅は縮小した。
中長期で技術基盤確立を目指す
決算発表ではNEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏が、2025年度までの中期経営計画についても紹介した。経営指標に関する具体的な目標としては、売上収益は3兆5000億円、調整後営業利益は3000億円、調整後当期利益は1850億円、EBITDAは4500億円を掲げる。
森田氏は経営目標を「戦略」と「文化」の2つに分類した上で、「戦略面ではEBITDAの年平均の9%成長率達成を目標とする。技術を強みにグローバル成長と国内事業のトランスフォーメーション加速を目指す。財務的には『長期利益の最大化』と『短期利益の最適化』を行う。また、文化の面では『NEC Way』に基づいて多様な人材確保を目指し、エンゲージメントスコアの向上を図る」と述べた。
森田氏はNECの事業成長モデルについて「効率の良いR&Dと、国内のネットワーク基盤を長年にわたって支えてきた質の高い実装力だと考えている。これらの強みを企業価値に転換するために、自社の強い技術を社内の共通基盤として整備するとともに、M&Aを適宜図ることで、国内及びグローバルで事業を伸ばしていく。国内とグローバルではデジタルガバナント/ファイナンス、グローバル5G事業の拡大を目指す。また、国内IT事業ではコンサル領域から実装力までを一体化しているIT事業の強みに、優位性ある技術基盤を組み合わせることで、『コア DX(デジタルトランスフォーメーション)』と位置付けて、事業成長のキードライバとする。社会や企業変革のDX支援を行うと共に、既存のIT事業領域でも高い収益性を実現したい」と説明した。
グローバル5G事業においては海外市場でOpen-RANベンダーのポジションを獲得し、End to EndのOpen-RANソリューションとアプリケーションなどを事業ポートフォリオに取り込むことで、現在国内基地局のハードウェア供給企業からソフトウェア領域へと事業拡大を進める方針だという。
また、企業成長の次の柱となる成長事業創出にも取り組む。量子暗号、レーザー暗号などの防衛技術や、個人情報保護型データ分析技術などの「現状のビジネスモデルを破壊し得るディスラプティブな技術」(森田氏)をベースに、先端顧客や研究機関との協業を通じて「暮らし」「社会」「環境」などの分野での新事業開発を目指す。
現時点ではAI(人工知能)でパーソナライズされた治療などを実現する「ヘルスケア・ライフサイエンス事業」や、再生可能エネルギーの余剰電力を市場でマッチングする「カーボンニュートラル関連事業」の成長拡大に取り組んでいる。
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