売上高200億円を目指すYE DIGITAL、農業や物流分野のIoT事業を拡大:製造マネジメントニュース
YE DIGITALは2021年3月30日、2020年度の決算報告と2021年度の事業計画に関する発表会を開催した。2022〜2024年度までの新中期経営計画を発表し、農業、交通、物流分野でIoTソリューション事業などを強化する方針を示した。
YE DIGITALは2021年3月30日、2020年度の決算報告と2021年度の事業計画に関する発表会を開催した。2022〜2024年度までの新中期経営計画を発表し、農業、交通、物流分野でIoT(モノのインターネット)ソリューション事業などを強化する方針について説明した。
IoTソリューション事業が伸長
YE DIGITALの2020年度実績は、売上高が144億8100万円で前年比5.0%増、営業利益は9億2100万円で同57.6%増、経常利益は8億1700万円で同39.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は6億4100万円で同69.6%となった。
事業別に概観すると、企業向け基幹システム構築などを行うビジネスソリューション事業は92億円で前年比2.2%減となった一方で、AI(人工知能)やIoTサービスを提供するIoTソリューション事業は53億円で同20.3%増となった。この結果、売上高全体に占めるIoTソリューション事業の割合は前年比約5%増加した。
ビジネスソリューション事業においては、企業向け基幹システム構築の売り上げが前年比増加。健康保険者向けシステム構築と移動体通信事業者向けシステムは堅調に推移したものの、ERP(基幹システム)ソリューションは前年を下回った。一方で、IoTソリューション事業においてはスマートロジスティクス分野でのAI、IoTソリューションと、教育現場におけるICT機器の需要増加に伴うインターネットセキュリティ関連製品の売り上げが伸びた。
2021年度の通期業績見通しについては、売上高は145億円で2020年度比0.1%増、営業利益は10億円で8.5%増、経常利益は4.0%増とする。
「売上高200億円」を目指しIoTソリューション事業などを強化
YE DIGITALは2019〜2021年度にかけて、基幹事業の収益力拡大などを目的とした中期経営計画を掲げ、各年度で目標実績達成に向けた取り組みを遂行している。ただし、現時点では復調傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が避けられないことから、中期経営計画における2021年度の当初目標は未達となる見通しだ。
一方で2021年度は、売上高200億円を目指す2022〜2024年度の新中期経営計画の実現に向けて事業基盤を固める取り組みを加速するとしている。大まかには既存事業である物流、農業、交通分野でのIoT事業と、地方企業や地方自治体を対象としたDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を拡大する計画だ。
農業向けでは、IoTプラットフォーム「MMCloud」とLPWA(省電力広域ネットワーク)などを組み合わせたビニールハウスの燃料タンク遠隔監視サービスの事業拡大を目指す。農家側では目視確認作業が不要になり、重油販売業者側では配送の効率化とコスト削減が見込める。今後、同様のシステムを農家の飼料タンクや、産業ガスのタンクなどの監視にも展開していく予定だ。
交通向けではデジタルサイネージやIoT技術を活用した「スマートバス停」の成長を加速させる。スマートバス停は現在、全国で15社の交通事業者などで導入されている。国土交通省からの補助金などが追い風となり導入事業者が拡大している状況だという。
物流向けでは、バンニング/デバンニング、デパレタイズ、保管、ピッキング、仕分け、パレタイズなど倉庫内物流業務の自動化を実現するスマートロジスティクス分野の事業拡大を目指す。AGV(無人搬送車)やロボットピッキング装置、自動物流倉庫システム「AutoStore(オートストア)を導入することで、省人化や効率化に向けた提案をする。
DX支援事業においては、九電ビジネスソリューションズなど九州地方の企業との協業を強化して地域企業のDX支援を推進する。また、MMCloudを基盤とするシステム活用で中小企業のDX支援事業も行う。
新規事業創出についてはコンサルティング会社を2社入れて、2021年度中に方針を明確化する予定だという。
YE DIGITAL 代表取締役社長の遠藤直人氏は「2021年度は、ビジネスソリューション事業においてはYDX(YASKAWA digital transformation)などを確実に遂行するとともに、IoTソリューション事業においては社会課題解決につながるIoTソリューションや、スマートロジスティクス事業の拡大を図っていく。ニューノーマルに必要とされる分かりやすく身近なソリューションを提供することで、社会貢献と事業成長を目指す」と展望を述べた。
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