工場向けIoTで成長を描くYE DIGITAL、エンジニアリング系AIで差別化:製造マネジメントニュース
YE DIGITALは2019年4月12日、戦略説明会を実施。「デジタル社会のリーディングカンパニー」を目標に掲げ、主に工場向けのIoT(モノのインターネット)やAIなどに特化することで差別化を進める方針を示した。
YE DIGITALは2019年4月12日、戦略説明会を実施。2021年度(2022年2月期)までの中期経営計画において「デジタル社会のリーディングカンパニー」を目標に掲げ、主に工場向けのIoT(モノのインターネット)やAIなどに特化することで差別化を進める方針を示した。売上高は2021年度に150億円、営業利益は12億円を目指す。
工場向けITソリューションを強みに
YE DIGITALは2019年3月1日に社名を安川情報システムから変更。デジタル変革の動きに合わせIoTやAIなどのデジタル技術を中心とした企業としての立ち位置を明確化した。新社名に変更後の2019年度(2020年2月期)〜2021年度の中期計画では新たに「デジタル社会のリーディングカンパニー」を目標と位置付け、デジタル変革におけるソリューションを提供する企業としてのブランドを確立する方針を示している。
2018年度(2019年2月期)は10年ぶりに受注売上高が140億円を突破するなど好業績が続いているが、その原動力となっているのが、工場向けのIoTソリューションである。同社では親会社である安川電機との関係などもあり、基幹系システムなどIT部門向けのITシステムの構築などとともに、制御領域などFAシステム系の工場向けITシステムの構築などにノウハウを持つ。そのため10年以上前からIoTに関連するようなシステム構築に取り組んできた。
2003年には遠隔監視システムの受託開発を開始し、2006年には無線ルーターシリーズを発売。さらに2011年には製造現場の情報を簡単に収集するIoTゲートウェイ「MMLink」を、2014年にはこれらの収集したデータの基盤となるIoTプラットフォーム「MMCloud」を発売している。さらにAIソリューションを組み込んだ画像判定システム「MMEye」や異常検知システム「MMPredict」、熟練者のノウハウ継承を支援する「MMGuide」など製品を拡大している。
YE DIGITAL 代表取締役社長 遠藤直人氏は中期経営計画について「基幹事業の収益力を強化する一方で、工場向けIoT分野やサービスビジネス化などの成長領域を拡大していくという考えだ」と方向性を述べている。
具体的には、4つの取り組みをポイントとして挙げる。1つ目は「基幹事業における収益力の拡大強化」で、ERPの切り替え時期である2025年までにベンダーとしてのポジション向上を目指すとする。2つ目が「中核事業における成長路線の追求」で、工場向けのIoT、AI、セキュリティなどで、新たな製品展開を進めるとともに、受注の大幅拡大を目指す。3つ目が「サービス事業における安定的、高収益ビジネスの確立」で、新たに設立したサービス拠点「Smart Service AQUA」を生かし売り切りではなくサービスビジネス化を加速させる。4つ目が「事業活動を支える経営基盤の充実」で、戦略的IT投資を進め生産性向上を実現させる方針を示した。
遠藤氏は「エンジニアリング系AIでトップクラスであるなど、特徴を明確に打ち出し、デジタル社会をリードする会社としていく」と抱負を述べている。
IoTやAIなどのデジタル技術関連では、大手ITベンダーやAIベンチャーなど数多くの競合企業が存在する状況だが「大手ITベンダーでは、業務系は強いが工場などエンジニアリング系ではノウハウのないところが多い。一方で、AIベンチャーなどは優れた製品はあるもののソリューションとして使える形まで作り込むことが難しいという状況がある。これらの両面を満たすことができる点で差別化が可能だと考えている」と遠藤氏は強みについて述べる。
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