自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ:MONOist 2019年展望(1/3 ページ)
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。
製造業のIoT(モノのインターネット)活用は加速している。特に工場内では、現場の人手不足や生産財メーカーが積極的な提案を進めていることもあり、さまざまな取り組みが進んでいる。ただ多くの企業の取り組みを見ていると、「見える化」でとどまっている状況が見えてくる。その中で課題としてあるのが、集めた情報を共通で活用する基盤や仕組み作りの難しさがある。
実際にこれらの仕組みを全て自社で作ると非常に多くの困難に対応する必要がある。そこで生み出されたのが、これらの情報活用をより容易に進める仕組みである「IoTプラットフォーム」である。ただ、現在はこのIoTプラットフォームもさまざまなサービスが乱立している状態で、ユーザーとなる製造業では迷いを持つ企業も多い。これらのプラットフォームを活用することで、ベンダーによる囲い込みになる「ベンダーロックイン」の状況が生まれることを懸念する声も出ている。
これらの状況をどう捉えればよいのだろうか。IoTで描かれる「データをベースに全てがつながる世界」を志向する場合、これらのプラットフォーム間でもデータ連携が進むのが当然の流れとなる。2018年には実際にそういうプラットフォーム間連携の動きも進み始めている。2019年にはさまざまなプラットフォーム間連携のカタチが世に出る見込みだ。
産業用IoTで期待される「見える化」の先
スマートファクトリー実現への取り組みは、以下の6つのステップで示されている。まずは機器などからデータを取得しデジタル化を行う。それを各種通信技術で収集し蓄積する。それを見える化する。さらに集めたデータを分析することで原因と結果の因果関係を解き明かす。因果関係を把握することで予兆なども把握できるようになり、シミュレーションなどを使い将来予測も可能になる。将来予測によって自律的な制御につなげられれば、自律最適化が実現できるという流れだ。
「見える化」だけであれば、例えば機器レベル、ラインレベルでも効果を生み出すことができる。そのため、個々の現場の判断で、独自のソリューションを採用することも可能である。ただ、工場間での情報活用や、設計や経営など部門間の情報連携などを行うことを考えれば、情報基盤などの仕組みが必要になる。ここまで踏み込めば現場だけの個々の判断だけでは導入が難しくなってくる。それぞれの現場で進めたデジタル化(デジタルデータ取得の仕組み)と、データ活用の基盤やサイクルを、いくつも組み合わせて一元化を進める必要が出てくるからだ。
これらを容易にする仕組みとして注目されたのがIoTプラットフォームである。IoTプラットフォームをあえて簡略化して説明すると、IoTを想定し現場のデバイスなどからの情報収集と集めたデータの活用でそれぞれの用途に合わせた仕組みをテンプレート化したものだといえる。
製造業向けのIoT基盤としては、ファナックが主導し現場機器の自動制御までを視野に入れる「FIELD system」、三菱電機のFA-IT連携基盤をベースとした「Edgecross(エッジクロス)」、シーメンスが主導し現場からクラウド情報基盤までを一元化できるPaaSであるドイツのSiemens(以下、シーメンス)の「MindSphere(マインドスフィア)」などが注目されている。
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