日立がロボットSI事業強化に向けさらなる一手、Kyoto Roboticsを買収:産業用ロボット(2/2 ページ)
日立製作所とロボットベンチャーのKyoto Roboticsは、2021年4月1日付で日立がKyoto Roboticsの全発行済株式総数の約96%を取得し、子会社化したことを発表した。
市場が急拡大するロジスティクス分野での事業展開を加速
日立がKyoto Roboticsの買収で大きく期待しているのは、市場が急激に拡大するロジスティクス分野での事業展開の加速だ。日立 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部 ロジスティクス事業推進本部長の神田充啓氏は「労働力不足にコロナ禍も加わり、ロジスティクス・FA分野のロボットソリューションによる自動化や省力化のニーズは高まっている。特にロジスティクス分野のロボット市場は、2017〜2025年で年平均18%の成長率が見込まれており、Kyoto Roboticsの高い技術力と開発力は大いに期待できる」と説明する。
実際にKyoto Roboticsはロジスティクス分野において、FA分野で多数の実績を持つTVSを基にした高い3次元認識率を強みとしており、単載デパレタイズであれば99.9%の精度を誇る。この高い認識率を事前の情報登録が不要なマスターレスで行うとともに、AIを活用したロボット制御システムと組み合わせて、単載デパレタイズで1時間当たり850ケース、混載デパレタイズで1時間当たり600ケースという業界最高水準の処理性能を実現している。
これらKyoto Roboticsのコアテクノロジーに、日立が展開するAGV(自動搬送車)の「Racrew(ラックル)」を組み合わせるなどして物流センターの高度化を進めていく。単なるロボットによる省人化、無人化にとどまらず、日立が推進する4M(huMan、Machine、Material、Method)データの収集との連携や、WMS(倉庫管理システム)やWES(倉庫実行システム)など計画系システムとの連携も視野に入れており、日立のデジタルソリューション群である「Lumada」の事業にもつながることになる。また、FA分野についてもKyoto RoboticsのTVSが既に高い納入実績を有しており「今後も着実な成長を目指していける」(神田氏)としている。
なお、森田氏は2021年4月1日付で産業・流通ビジネスユニットのCEOに就任してから初めての会見となった。同氏は「日立の産業・流通ビジネスユニットは、サイバーフィジカルシステムに必要なプロダクト、OT、ITにわたって全ての技術を有しているユニークな事業体だ。Kyoto Roboticsのように必要があればフィジカルの領域も強化しつつ、事業を国内外で拡大していきたい」と意気込みを述べている。
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