日立がロボットSI事業で目指す、次世代サプライチェーンの実現:スマートファクトリー
日立製作所は2020年11月4〜6日、オンラインでプライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」を開催。そのエキスパートセッション「ロボティクスとデジタルでめざす次世代サプライチェーンマネジメント」の内容について紹介する。
日立製作所(日立)は2020年11月4〜6日、オンラインでプライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」を開催。そのエキスパートセッションとして、日立製作所 産業・流通ビジネスユニット 副本部長で、JR Automation Technologies(JRオートメーションテクノロジーズ)エグゼクティブヴァイスチェアマン兼チーフインテグレーションオフィサーの榎本充博氏と、JRオートメーションテクノロジーズ CEOのBryan Jones(ブライアン・ジョーンズ)氏が登壇し「ロボティクスとデジタルでめざす次世代サプライチェーンマネジメント」をテーマに、両社で進めるデジタル技術を基盤としたモノづくり現場について紹介した。
次世代のサプライチェーンを実現へ
JRオートメーションは2019年4月に日立製作所が買収を発表したロボットシステムインテグレーターおよびラインビルダーと呼ばれる企業である。1980年の創業で、工場の生産ラインを設計、構築する。北米の主要製造業を顧客とし、特定ラインだけでなく生産ライン全体の設計や構築、調整を行う。ロボットを活用した組み立てや溶接工程に独自の知見や強みを持ち、自動車や航空機、医療機器などの工場、eコマース向けの物流拠点などに顧客基盤を持つことが特徴である。2019年末に買収契約を完了し、2020年からは本格的に両社で相乗効果を生み出すために取り組みを進めているところだ。
日立の榎本氏は「将来的には、JRオートメーションの持つロボティクスやオートメーション、顧客との関係性と、日立が持つ『Lumada』などのデジタル技術などを組み合わせていく。ロボティクスとデジタルを組み合わせることで新たな価値を提供する。モノづくりのあらゆるデータを統合し、グローバルなサプライチェーンの最適化を目指す」と述べている。
COVID-19による緊急の製造支援でも活躍
JRオートメーションは、製造現場において組み立てソリューションに始まり、レーザー技術、ソフトウェアやデータのインテグレーション、金属加工、映像技術の活用など多岐にわたる技術力を持ち、これらを組み合わせて顧客である製造業の求める製造現場を実現する。これらにより自動車や航空防衛、建設、食品・飲料、重機など多岐にわたる業界から評価を得ている。
JRオートメーションのジョーンズ氏は「例えば、自動車分野ではパワートレインや車体、インテリアなど幅広い分野で技術提供をしているが、これらを行うには、さまざまな認証を取得していなければならない。また複数の拠点を結集する大規模なプロジェクトや、単一拠点で専門性の高いプロジェクトなど、幅広い知見により顧客の求めるレベルや規模で製造環境を構築できる」と強みについて語っている。同様に医療分野や物流分野でも専門知識を生かしたさまざまな実績がある。
実際にJRオートメーションの技術力は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも貢献した。北米において、医療機器やマスク生産の緊急立ち上げなどを支援し、短期間での市場導入を可能としたという。ジョーンズ氏は「こうしたことが可能であるのは、まず顧客との長期にわたる信頼関係があることが起点としてある。例えば、ゼネラルモーターズとの調整作業を迅速に実現できたことで、マスク製造ラインを6日間で整備し、作業者や救急隊員へのマスク配布を実現できた。技術力の他にこうした信頼関係や顧客基盤があるということが何より重要だ」と述べている。
さらに日立との連携については「人財、技術、ITに強い日立の専門知識やLumadaなどのプラットフォーム、各種デジタルソリューション、製造現場との接続能力やロボティクスソリューションなどを、JRオートメ―ションの取り組みと組み合わせることで過去には実現できなかったことを数多く成し得ると考えている」(ジョーンズ氏)と今後の発展性について訴えている。
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