ロボットSIに注力する日立、ラインビルダーとしての実力もアピール:IIFES2019
日立製作所は、「IIFES2019」において、ロボティクスソリューションの実機デモを披露した。前工程と後工程2つのセルから成る生産ラインであり、ラインビルダーとしての実力もアピールする内容になっている。
日立製作所は、「IIFES2019」(2019年11月27〜29日、東京ビッグサイト)において、ロボティクスソリューションの実機デモを披露した。
この実機デモは、グループ企業の日立産機システムがロボットシステムインテグレーター(ロボットSI)を担う形で、小箱をピッキングして搬送する前工程セルと、搬送した小箱に印字を行う後工程セルから成る生産ラインを会場内に構築したものだ。
前工程セルは、ヤマハ発動機の直交ロボットを使って小箱を吸着ハンドでピッキングしてトレイの中に入れ、ばら積み状態になった小箱を多軸ロボットとKyoto Roboticsの3Dビジョン技術でピッキングし、コンベヤーに載せて搬送する。このコンベヤーは循環モードになっており、小箱のほとんどは前工程プロセスの最初に戻るが、一部の小箱はもう1台のヤマハ発動機の直交ロボットがピッキングし後工程に送る。
後工程セルでは、搬送されてきた小箱に日立産機システムの産業用インクジェットプリンタ「Gravis UXシリーズ」で印字を行い、その後で印字検査装置「Gravis MC-20S」で印字の状態を検査してから、展示スタッフの手にわたる仕組みだ。
なお、前工程と後工程の両セルの制御は日立産機システムのPLC「EHVシリーズ」で行っており、さらにその上層ではIoT(モノのインターネット)対応の高機能PLC「HXシリーズ」を使って両セルの制御データを収集し、生産ラインの情報を表示する製造ダッシュボードに活用している。
また、今回の実機デモの構築では、日立グループのロボット自律・協調制御技術である「Collabotics」を基にしたシミュレーション技術が活用されている。これにより現場でのシステム構築を早期に完了することができた。「当社グループはロボットSIとしての事業展開を強化しているが、日立産機システムを中心にラインビルダーとしての業務も手掛けている。今回の展示は、ロボットSIとラインビルダー、両方の技術とノウハウがあることをアピールする狙いがある」(日立製作所の説明員)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日立がロボット事業に参入する理由は「高度なシステム化力」
日立製作所は、東京都内で開催したプライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」において、同社が注力しているロボティクス技術についての展示を行った。 - 日立がロボットSIを買収し北米ラインビルダー事業に参入、その2つの理由
日立製作所は2019年4月24日、米国のロボットシステムインテグレーター(ロボットSI)であるJR Automation Technologies(JRオートメーション)を買収し、北米において生産ライン構築を請け負うラインビルダー事業に参入することを発表した。買収金額は約1582億円となる。 - 売上高1兆円を目指す日立のインダストリーセクター、強みは「一体運営」にあり
日立製作所の「Hitachi IR Day 2019」において、同社 執行役副社長 インダストリー事業統括本部長の青木優和氏が登壇。2019〜2021年度の中期経営計画を推進する5つのセクターの1つである、インダストリーセクターの事業戦略について説明した。 - 「社会イノベーションといえば日立に」、東原社長が2021年度中計に意気込み
日立製作所が同社の事業方針を投資家向けに説明する「Hitachi IR Day 2019」を開催。その冒頭、「CEO Remarks」として、同社執行役社長 兼 CEOの東原敏昭氏が登壇し、2019〜2021年度の中期経営計画について説明した。 - つながることで生まれる“際”が課題、「Lumada」は協創で解決する
「第8回 IoT/M2M展 春」の特別講演に、日立製作所の森田和信氏が登壇。『協創で生まれるIoTを活用したバリューチェーンの革新〜「つながり」が生み出す新たなイノベーション〜』と題して、同社が展開する製造と流通分野向けのデジタル化戦略などを紹介した。 - 住友ゴムがタイヤ生産をスマート化、日立「Lumada」とPTC「ThingWorx」を採用
住友ゴム工業、日立製作所、PTCジャパン、AIやIoTを活用したプラットフォームにより、高品質かつ高効率なタイヤ生産を実現するシステムをグローバルに構築するための本格的な協業を開始する。今後は、2025年までに同システムを住友ゴムの国内外12拠点のタイヤ製造工場に導入する計画である。