自動化領域を大きく拡大へ、ABBが6軸アーム型協働ロボット2機種を発表:協働ロボット
ABBは2021年2月24日、グローバルプレスイベントを開催し、協働ロボットの新製品2機種を発表した。新たな協働ロボットは5kg可搬の6軸アーム型の「GoFa」と4kg可搬の6軸アーム型の「SWIFTI」で、製造業の新たな使用領域を拡大するとともに、物流や小売りなどの新たな領域での使用を提案していく。
ABBは2021年2月24日、グローバルプレスイベントを開催し、協働ロボットの新製品2機種を発表した。同日に発売する。新たな協働ロボットは5kg可搬の6軸アーム型の「GoFa」と4kg可搬の6軸アーム型の「SWIFTI」で、製造業の新たな使用領域を拡大するとともに、物流や小売りなどの新たな領域での使用を提案していく。
リーチ950mmで毎秒2.2秒の速度で稼働する「GoFa」
ABBでは2015年に、双腕型および単腕型の協働ロボット「YuMi」を発売し、協働ロボットでさまざまな用途を切り開いてきた。これらに新たなラインアップを加えることで、さらに協働ロボットを活用した自動化の領域を広げていく方針だ。
ABB ロボティクス&ディスクリート・オートメーションビジネスエリアのプレジデントであるSami Atiya(サミ・アティヤ)氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化は加速している。その中で人と一緒の空間で稼働できる協働ロボットは大きな役割を果たす。新機種の投入により、より安全で柔軟、効率的な働く場所を実現する。ABBが協働ロボットの先導企業として新たな自動化領域を切り開いていく」と語っている。
新しく投入する協働ロボットは「GoFA CRB 15000」と「SWIFTI CRB 1100」の2機種である。「GoFA CRB 15000」はリーチ950mmを備え、最高で毎秒2.2mの速度で稼働する。6つの関節それぞれにインテリジェントトルクと位置センサーを搭載し、安全性を確保するとともに、高精度の制御が可能だ。重量は27kg、最低設置面積は165m2で「デスクトップでも使用できる」(ABB グローバルプロダクトマネジャーのアンディ・チャン氏)。愛称の「GoFa」は「Go Further And Do More」から生まれた言葉で、ロボットの支援によって企業がさらに前進し、より多くのことを実現することを目指したという。
産業用ロボットをベースに秒速5mの作業速度を実現した「SWIFTI」
一方で産業用ロボット「IRB 1100」をベースとし、同社の協働ロボット製品の中でも高速動作を特徴とする。4kgの可搬質量と475mmおよび580mmのリーチがあり、作業速度は毎秒5mに達する。10μmの繰り返し位置精度を実現し、重量は21kgとなっている。
安全レーザースキャナーをABBのSafeMoveコラボレーティブ安全ソフトウェアと組わせて活用することで、「SWIFTI」の作業エリア内でオペレーターが検出された場合、協働ロボットの動きは自動的に減速または完全に停止し、遠ざかるとフルスピードでの生産活動に戻るような運用が可能である。
両機種ともに使いやすさを徹底的に高め、リードスループログラミング(ダイレクトティーチング)機能によるプログラム作成が可能。また、基本的な動作プログラムについては、ABBのウィザードイージープログラミングソフトウェアとして用意しており、操作ペンダントの画面上で必要なブロックをドラッグ&ドロップするだけで簡単にプログラム作成が可能である。「ロボットプログラミングの知識なしにノーコードで使用できる」(チャン氏)。より専門的なプログラムについては、ABBのスキルクリエータソフトウェアによって作成でき、標準のRAPIDプログラミングルーティンをウィザードブロックに変換し、プログラマーなど専門家以外でも使用可能とする。
その他、ABBの協働ロボットの導入には、ABB Abilityによる状態監視と診断を提供するスタートアップパッケージが含まれているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IoTに人とサービスの要素を加えた「IoTSP」を推進、ABBの目指す道
スイスのABBは、IoTに人とサービスの要素を加えた「IoTSP」を推進。協働ロボット「YuMi」の展開なども組み合わせ「未来の工場」実現に向けたソリューションを展開する。 - 一緒にダンスが踊れる一体感! ロボットと人間が支え合うモノづくりをABBが出展
スイスのABBは、ハノーバーメッセ2015において、人間と協力して働く双腕ロボット「YuMi」を出展した。人によるセル生産の効率化を目指しているという。 - 協働ロボットはコロナ禍の人作業を補う手段となり得るか
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。 - 協働ロボット普及のカギは「用途別パッケージ」、2020年は“第3の道”にも期待
人口減少が加速する中、製造現場でも人手不足が深刻化している。その中で期待を集めているのがロボットの活用だ。特に協働ロボットの普及により人と同一空間を活用し新たな用途開拓が進んでいる。2020年はこれらの技術進化による普及が本格的に進む一方で、「人」との親和性をさらに高めた“第3の道”の登場に期待が集まっている。 - 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。 - 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。 - 機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。