電動化に全振りのGM、全車種の電動化とともに物流向けEVサービスへ参入:電動化(2/2 ページ)
GMの会長兼CEOであるメアリー・バーラ氏は2021年1月12日(現地時間)、オンラインで開催中の「CES 2021」(2021年1月11〜14日)の基調講演に登壇し、現在が「歴史的にも社会的に変曲点にある」ということを訴えた。
5年間で30車種のEV化を推進
GMでは全車種のEV化を進めるビジョンを掲げているが、2025年までに30車種のEV化を進める方針を示している。基調講演の中では、2021年夏に投入予定のSUV「ボルトEUV」に加え、GMCブランドのSUV「ハマー」のEVモデル、キャデラックブランドのSUV「LYRIQ(リリック)」「Celestiq(セレスティック)」などを紹介した。バーラ氏は「EVの運転を考えたこともない人が恋してしまうような車両を、4つのブランドから提供していくつもりだ」と語っている。
EVプラットフォームではレアメタルの使用量を削減
これらを実現するための技術についても紹介された。EVプラットフォーム「Ultium(アルティウム)」は多くの車種でEVモデルを展開するのに必須だが、ブラッシュアップを続けているという。同プラットフォームで使用するリチウムイオン電池では、レアメタルで高価なコバルトの使用量を70%減らし、代わりに安価なアルミニウムに置き換えた電池を採用するという。EVの需要量が増えれば、コバルトの需要が間に合わなくなることも見据えた準備だとしている。
また、「Ultium(アルティウム)」は、全車種で共通の大判セル設計となっており、LG化学との合弁企業で製造を行っているが、新たなバッテリーセルでは、60%のエネルギー効率向上を実現するとともに、積層型のポーチデザインにより省スペースで高いエネルギー密度を実現する。また、これらのプラットフォームにワイヤレスバッテリー管理システムを組み込み、電池状態の把握とバランスの最適化を図る。
さまざまなサイズのクルマに適用できるようにし、1回の充電で最大450マイル(約720km)の航続距離を実現する。また、既存のEVバッテリーよりも40%のコスト削減と25%の軽量化を実現するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- GMは第1世代のEVから黒字化、開発期間短縮とバッテリーコスト6割減がカギに
GM(General Motors)は2020年11月19日、電動化への投資を強化すると発表した。EVや自動運転車への2025年までの投資額は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以前に計画した200億ドル(約2兆800億円)から270億ドル(約2兆8100億円)に増やす。 - 「ハマー」がEVに、1000馬力で走行距離563km、350kWの超高速給電に対応
General Motors(GM)は2020年10月21日、GMCブランドのSUV「ハマー」の電気自動車(EV)モデルを発表した。2021年秋にハマーEVの「エディション1」を発売した後、走行距離の長さや駆動用モーターの搭載数が異なるグレードを順次追加する。 - ホンダとGMが燃料電池車の共同開発を正式発表、実用化時期は2020年
ホンダとGeneral Motors(GM)は、燃料電池車に搭載する次世代型燃料電池システムと水素タンクの共同開発を行うことで合意したと発表した。実用化時期は2020年ごろを想定している。 - これからEV開発責任者となる人へ、5つの提言
風雲急を告げる、というのであろうか。毎日のようにEV(電気自動車)に関する規制やニュースが流れている。このように各国で一気に電動車への転換が叫ばれており、それに伴い、エンジン車やEVの担当から、EVの開発責任者になる人も多いのではないかと思われる。しかし、EV開発は従来とかなり異なった面を持っている。どのようなことを考えておけば良いのか、筆者の経験から5つの提言としてまとめてみた。先達の意見として参考に願いたい。 - ダイソンEV撤退をケーススタディーとして考える
EVを開発すると宣言し、撤退した案件としては、投資額や雇用人員ともダイソンがこれまで最大規模であり、この撤退の真因に迫ることは、今後のEV開発に極めて重要ではないかと考えた。あくまで筆者の見立てであるが、元EV開発の経験からダイソンEV撤退をケーススタディーとして、EV開発の困難さおよび事業の難しさについて考えてみたい。 - テスラは「モデルS」をどのように開発したのか、EV開発の核心に迫る
米国市場で好調に販売台数を伸ばし続けている、Tesla Motors(テスラ)のプレミアムEVセダン「モデルS」。元三菱自動車で、EV「i-MiEV」の開発を担当した和田憲一郎氏が、テスラのディレクターを務めるカート・ケルティ氏に緊急インタビューを敢行。モデルSに代表されるテスラのEV開発の核心に迫った。