三菱自は2030年に電動車比率50%を目指す、2019年の6.6%から大幅アップ:エコカー技術
三菱自動車は2020年11月2日、2030年までに電動車比率50%を目指すと発表した。また、新車と事業活動によるCO2排出量も40%削減する。これらは、2050年に向けた「環境ビジョン2050」とそれに基づく2030年までの具体的な取り組みをまとめた「環境ターゲット2030」で構成する「新環境計画パッケージ」において取り組む目標だ。
三菱自動車は2020年11月2日、2030年までに電動車比率50%を目指すと発表した。また、新車と事業活動によるCO2排出量も40%削減する。これらは、2050年に向けた「環境ビジョン2050」とそれに基づく2030年までの具体的な取り組みをまとめた「環境ターゲット2030」で構成する「新環境計画パッケージ」において取り組む目標だ。
2050年にCO2排出ネットゼロ社会の実現に貢献するというビジョンに基づき、2030年までの目標を定めた。新車が排出するCO2は2010年度比で40%削減、事業活動からのCO2排出量は2014年度比で40%削減を目指す。新車のCO2排出量40%削減に向けて、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)の比率を大幅に引き上げる。電動化しない内燃機関車の燃費改善にも取り組む。
2019年度に三菱自動車がグローバルで販売した電動車は7万5143台。内訳はPHEVが4万7758台、EVが1015台、HEVが2万6370台だ。グローバル販売台数全体としては112万6843台なので、電動車比率は6.6%にとどまる。すでに発表した2020〜2022年度の中期経営計画でも電動車のラインアップ強化を掲げており、中計を順調に進められるかどうかが2030年の目標達成を左右しそうだ。
中計では2020年度に「エクリプス クロス」にPHEVモデルを追加。2021年度は「アウトランダー」の次期モデルや広州汽車と共同開発する新型EVを展開。2022年度に新型アウトランダーにPHEVモデルを追加する。この他にも日産自動車と共同開発する軽自動車タイプのEVも商品ラインアップに加わる。また、収益性の高いASEANに経営資源を集中させる方針も掲げ、タイで「アウトランダーPHEV」の生産、販売を開始する。
電動車から建物などに給電するV2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)の推進にも取り組む。災害発生時に電動車を被災自治体に提供する体制づくりのプログラム「DENDOコミュニティサポートプログラム」を通して、2022年度までに全国の自治体と災害時協力協定を締結する。悪路走破性や長時間の給電に対応したアウトランダーPHEVを活用するという。
事業活動によるCO2排出量削減では、再生可能エネルギーの活用に取り組む。岡崎製作所にはアウトランダーPHEVの使用済みバッテリーを活用した蓄電システムを構築するとともに、大規模太陽光発電設備を設置した。電力消費のピークカットを図るだけでなく、災害などで停電が発生した場合にこの電力を同社の体育館に供給し、地域に避難所として提供する。使用済みバッテリーを活用した蓄電システムや、電池パックやシステムの再利用に向けた技術開発を通じて、資源の循環にも貢献したい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本は「自動車産業After2050」を考えるときではないか
各国の規制は既に2050年までほぼ固まっており、これが早まることはあっても、後退することはないだろう。海外の自動車メーカーもこれに沿って車種ラインアップや事業計画を見直していると予想される。そう考えると、他社より一歩先んずるためには、まだ固まっていない、不透明な2050年以降を想定していくことが必要ではないだろうか。まさに日本が生き残るための「自動車産業After2050」である。 - 三菱自がU字回復へ新中計、高収益のASEANに経営資源を集中
三菱自動車は2020年7月27日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比57.2%減の2295億円、営業損益は533億円の損失、当期純損益は1761億円の損失となった。販売台数は同53%減(15.9万台減)の13.9万台だった。 - 日産は最終赤字6700億円の見通し、2022年までの中計は「順調」
日産自動車は2020年7月28日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比50.5%減の1兆1742億円、営業損益は1539億円の損失、当期純損益は2856億円の損失となった。2021年3月期通期(2020年度)の業績予想は、前期比21.0%減の7兆8000億円、営業損益は4700億円の損失、当期純損失は6700億円の損失を見込んでいる。 - ルノー日産三菱、プラットフォームだけでなくアッパーボディーも標準化
日産自動車とRenault(ルノー)、三菱自動車は2020年5月27日、オンラインで会見を開き、モデルあたりの研究開発費や設備投資を平均で40%削減する商品開発体制を発表した。 - 三菱自動車がコンパクトPHEVにガスタービンエンジンを採用する4つの理由
三菱自動車は「第46回東京モーターショー2019」において、スモールサイズの電動SUVのコンセプトカー「MI-TECH CONCEPT(マイテックコンセプト)」を初披露した。最大の特徴はガスタービンエンジンの採用になるだろう。 - ガスタービンがついに自動車に? 三菱自動車がPHEVコンセプトに採用
三菱自動車は2019年10月3日、「第46回東京モーターショー2019」(一般公開日:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において世界初公開するコンセプトカーの追加情報を発表した。 - 三菱自動車が取り組んだ床下空力騒音解析、“弱点”を解決した道筋
ダッソー・システムズは、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」を開催。その中でカテゴリーセッションとして、三菱自動車工業 第一車両技術開発本部 機能実験部 空力技術開発の奥津泰彦氏が登壇し「PowerFLOWとwave6を活用した自動車床下空力騒音の伝達メカニズム解明」をテーマに、床下空力騒音解析の数値計算手法と計算結果などを紹介した。