大手ゼネコン3社がロボット施工・IoTで技術連携、鹿島竹中連合に清水建設が参画:製造マネジメントニュース
鹿島建設、清水建設、竹中工務店の大手ゼネコン3社は、建設業界全体の生産性および魅力の向上を促進することを目的に、ロボット施工・IoT分野での技術連携に関する基本合意書を締結した。
鹿島建設、清水建設、竹中工務店の大手ゼネコン3社は2020年10月19日、建設業界全体の生産性および魅力の向上を促進することを目的に、ロボット施工・IoT(モノのインターネット)分野での技術連携に関する基本合意書を締結したと発表した。3社は今後、合意書に基づき協働を進めるとともに、技術連携を広く業界全体に働きかけ、建設業が抱える諸課題の解決に尽力していく方針だ。
鹿島建設と竹中工務店は、2019年12月からロボット施工・IoT分野における技術連携を進めている。今回発表した技術提携では、2社の協業の取り組みに清水建設が新たに参画することになる。対象技術は、施工関連技術のうち、ロボット、機械装置、ソフトウェア、IoT技術に関連するものとし、新規技術の共同研究開発、既存技術の機能向上・改良の他、実用レベルに達した既存ロボット技術などの相互利用にも取り組む。
国内の建設業は、生産年齢人口の減少や技能労働者の高齢化に伴う将来的な就業者不足に対応するため、新規入職者の確保や生産性の向上、働き方改革の実現が喫緊の課題となっている。こうした中、ゼネコン各社は、施工ロボットやIoTを活用した施工支援ツールの開発を進めているが、個社で生産する施工ロボットの台数では、量産による開発コストの回収は難しく、結果的にロボットの本体価格が高額となり、現場への普及を妨げる要因となっている。さらに、実際に使用するゼネコンの協力会社(下請けの工事会社)にとっては、操作方法を習得するロボットの種類が増えてしまうため、生産性の向上を阻む要因にもなっていた。
これらの課題に対し3社は、今回の協業を通じて、新規ロボットの共同開発や既存ロボットの相互利用を促進することで、研究開発費やロボット生産コストの低減につなげ、施工ロボットの普及加速を目指す。また、最先端技術の利活用によって、協力会社の生産性の大幅な向上、技能労働者のワークライフバランスの向上や処遇改善、若年層の入職促進などに寄与し、建設業界の魅力向上に貢献していきたい考えだ。
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