新型Sクラスがレベル3の自動運転に対応、2021年後半からドイツで利用可能に:自動運転技術(2/2 ページ)
メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は2020年9月2日、フラグシップセダン「Sクラス」の新モデルを世界初公開した。同年9月からドイツで受注を開始し、12月から販売する。モデルチェンジに合わせて新型Sクラスの生産拠点「Factory 56」を刷新した。
「ハーイ、メルセデス」が進化
MBUXは第2世代となる。音声アシスタントやインフォテインメントシステムが後部座席でも利用可能になった。また、前席のインフォテインメントシステムの画面と後部座席のディスプレイが連携しており、ドライバーが運転席でスワイプ操作して後部座席向けのディスプレイににアプリや表示を移動させることもできる。
レベル3の自動運転中にドライバーの監視を行うMBUXのインテリアアシストは、カメラとAIによって乗員の頭の向きや手の動き、ボディランゲージを学習して意図や希望を予測する。例えばドライバーが後ろの窓を肩越しに見ている場合、インテリアアシストはドライバーが後ろを見たいのだと理解して後部座席のサンシェードを下ろすことができる。また、乗員を認識してシートポジション、ミラー、照明、インフォテインメントの設定などを好みのものに調整する。
この他、乗員がクルマに乗る前よりも快適で健康的な状態でクルマを降りるためのプログラムもMBUXに取り入れた。
ドライバーがストレスや疲労などその時に感じていることを伝えると、シートのマッサージ機能やフレグランス、空気清浄機や空調などでリフレッシュさせる。また、ドライバーが所有するウェアラブルデバイスで収集するヘルスケア関連の情報もプログラムに反映する。
乗員の理解など処理量が増加したため、第2世代のMBUXの計算能力は従来比で50%向上させた。NVIDIAのGPUが貢献しているという。MBUXの表示系には、OLED(有機EL)ディスプレイを最大5つ使用する。ドライバーディスプレイはアイトラッキングを使った3D表示に対応。また、矢印を車線に重ねて投影するなどAR表示に対応した大型ヘッドアップディスプレイも採用した。
関連記事
- クルマの操作に関する音声認識は自前で、だからこそ「ハーイ、メルセデス」
メルセデス・ベンツ日本は2018年10月18日、東京都内で会見を開き、コンパクトカー「Aクラス」の新モデルを発表した。音声認識機能を充実させた新開発のインフォテインメントシステム「MBUX(メルセデスベンツユーザーエクスペリエンス)」を初めて採用したモデルとなる。 - アウディ新型「A8」はレベル2で日本導入、2019年には「AIアクティブサスペンション」も
アウディジャパンは2018年9月5日、東京都内で会見を開き、フルモデルチェンジした「A8」と「A7 Sportback」を日本で発売すると発表した。両モデルとも、電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステムや、全面タッチパネルのインフォテインメントシステムなど新技術を採用した。A7 Sportbackは同年9月6日から、A8は同年10月15日から販売を開始する。 - トヨタが新型LSで4つのLiDARを採用、高速道路出口まで運転支援
トヨタ自動車は2020年7月7日、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」の新モデルを世界初公開した。日本での発売は2020年初冬を予定している。 - 路面にマークを描いてドライバーに注意喚起、マイバッハSクラスのヘッドランプ
マレリ(MARELLI)は「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)「マイバッハSクラス」の最新モデルに採用されたヘッドランプを展示した。 - プロジェクター化するヘッドランプ、動くモノに追従した部分消灯が課題に
オートハイビームは軽自動車にも搭載されるなど広く普及しているが、プレミアムブランドや上位車種向けのヘッドランプは、部分的に消灯する技術の高精度化が進む。消灯する範囲を最小限に抑えるほど、他のより多くの部分にヘッドランプの光が当たり、歩行者や自転車、障害物を認知しやすくなる。各社の取り組みから、ヘッドランプの最前線を追う。 - メルセデスベンツがOTAで自動運転を追加可能に、2024年以降の新型車
Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)とNVIDIAは2020年6月23日、自動運転技術を搭載する車両のコンピューティングアーキテクチャを共同開発し、2024年から量産すると発表した。このアーキテクチャは「Sクラス」から「Aクラス」まで全ての次世代モデルに搭載する。 - 高級車から広がる48Vシステム、ディーゼルエンジンに代わる環境技術に
聞いたことはあるけれど、正確に知っているかといわれると自信がない……。クルマに関する“いまさら聞けないあの話”を識者が解説します。第4回は、ディーゼルエンジンに対する逆風が強まる中、製品化が相次いでいる「48Vシステム」です。48Vシステムの特徴とは一体何でしょうか。 - ドイツの自動車大手はスタートアップとどのように付き合っているか
これまでの2回では、単身でドイツに渡ってベルリンのスタートアップで働き始めた経緯や、自動車向けのアプリ開発をどのように支援していたかをご紹介しました。今回は、ベルリンでの生活で見えてきた、スタートアップと自動車業界の関わりについてお話していきます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.