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工場排出CO2からパラキシレンを製造、年間約1.6億トンのCO2固定化が可能にFAニュース

NEDOは、CO2を資源として捉えて有効利用を図るカーボンリサイクル技術の実現に向けて、工場などから排出されるCO2を原料としたパラキシレン製造の技術開発事業に着手すると発表した。富山大学、日本製鉄、日鉄エンジニアリング、ハイケム、千代田化工建設、三菱商事に委託し、2020〜2023年度の4年間で実施する。事業予算は19億9000万円。

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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2020年7月14日、CO2(二酸化炭素)を資源として捉えて有効利用を図るカーボンリサイクル技術の実現に向けて、工場などからか排出されるCO2を原料としたパラキシレン製造の技術開発事業に着手すると発表した。富山大学、日本製鉄、日鉄エンジニアリング、ハイケム、千代田化工建設、三菱商事に委託し、2020〜2023年度の4年間で実施する。事業予算は19億9000万円。

 同事業では、CO2を原料としたパラキシレンを製造するための画期的な触媒の改良や量産技術の開発、プロセス開発を実施するとともに、経済性やCO2削減効果を含めた事業性の検討を行う。パラキシレンは、ポリエステル繊維やペットボトルなどの生産に必要となる化学品であり、現時点でCO2から工業的に製造する実用的な技術は確立されていない。NEDOは、日本の独自技術とすべく今回の技術開発事業を通して実用化を目指す。

 現在、パラキシレンは原油の精製によって得るのが一般的だ。ポリエステル繊維やペットボトル用樹脂は、この石油由来パラキシレンを酸化して得た高純度のテレフタル酸(PTA)とエチレングリコールの反応から得られるポリエチレンテレフタラート(PET)が原料になる。

パラキシレンとポリエステル繊維やペットボトルの製造の流れ
現在のパラキシレンとポリエステル繊維やペットボトルの製造の流れ(上)。NEDOの事業では工場などから排出されるCO2からパラキシレンを製造し、カーボンリサイクルとして固定化する狙いがある(下) 出典:NEDO

 重要な基礎化学品であるパラキシレンだが、その化学式はC8H10であり、他の化学品に比べて製造時に必要な水素原料が少なくて済む。このため、より低コストで多くの排出CO2をカーボンリサイクルとして固定化できると考えられている。パラキシレンの世界需要は年間約4900万トンで、仮に全てをCO2原料に切り替えた場合のCO2の固定量は年間約1.6億トンに上るという。

 なお、今回の事業の研究開発項目は「触媒開発(新規触媒の性能向上、長寿命化など)」「 触媒のスケールアップ開発(触媒構成成分の大量合成、工業触媒向けの成形など)」「プロセス開発(最適プロセスフロー、最適運転条件の確立など)」「事業性検討(反応経路に応じた経済性とCO2削減効果の評価、市場調査)」の4つから成る。

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