連携広げるOPC UA、モーションや防爆など現場領域のカバー範囲を拡大:産業用ネットワーク技術解説
OPC UAなどを展開するOPC Foundationは2020年6月22〜25日、オンラインでのグローバルイベント「OPC DAY INTERNATIONAL」を開催。その中で新たにAdvanced Physical Layer(APL)プロジェクトグループへの参加や、ODVAとの協力でOPC UA Motionの開発を進めることなどを発表した。
OPC UAなどを展開するOPC Foundationは2020年6月22〜25日、オンラインでのグローバルイベント「OPC DAY INTERNATIONAL」を開催。その中で新たにAdvanced Physical Layer(APL)プロジェクトグループへの参加や、ODVAとの協力でOPC UA Motionの開発を進めることなど最新の動向について発表した。
「Ethernet-APL」と連携しプロセス製造業の現場までカバー
新たな発表の1つが、OPC FoundationがAPLプロジェクトグループに参加したということだ。APLプロジェクトグループは、「Ethernet-APL」と名付けられたプロセス製造業における防爆対応などの耐環境性や、危険な場所での使用に最適化した産業用イーサネットのAdvanced Physical Layer(高度な物理層)の開発と普及に取り組んでいる。現在までに12の業界パートナーとプロセスオートメーションの3つの主要なフィールドバス団体で構成され、参加しているフィールドバス団体はFieldComm Group(FCG)、ODVA、Profibus & Profinet International(PI)である。
OPC FoundationがAPLプロジェクトグループに参加したのは、OPC UAを現場レベルにまで拡張する取り組みと連動したものだ。OPC Foundationでは2018年末にフィールドバス間の連携をOPC UA経由で行えるようにする「Field Level Communications(フィードレベルコミュニケーション、FLC)」を打ち出し、イニシアチブを組織している。今回のAPLプロジェクトグループへの参加はさらに、プロセス製造の現場レベルまでカバーし、カバー領域を拡大していく方向性を示している。
OPC Foundation代表のステファン・ホッペ(Stefan Hoppe)氏は「トランスポート層としてAPLを利用するための拡張は論理的な進歩であり、OPC UAとEthernet-APLの組み合わせは、プロセス産業の多くのユーザーにとって将来の標準になり得る」と語っている。
OPC UA Motionの開発
さらに、PLC/モーションコントローラー、標準ドライブ/周波数コンバーター、位置決めドライブ、サーボドライブ、モーションエンコーダー、モータスタータ、電源などのモーションデバイス間の情報モデルを構築し、複数ベンダー間や機器間の連携を実現する「OPC UA Motion」の開発についても発表した。これは、OPC Foundation、ODVA、Sercos Internationalで取り組むもので、2020年5月18日に「OPC UA Motion Working Group」のキックオフが行われたという。
この新しいモーションネットワークでは、PubSub通信を使用し、OPC UA Safetyと組み合わせることで、集中型および非集中型のモーションソリューションを実現するという。ODVAとSercos Internationalは、OPC Foundationとの既存の協力関係を発展させ、EtherNet/IPとSercosの技術により、モーション技術の向上とソリューションの拡大を目指すとしている。
その他、新たにOPC FoundationにGoogle Cloudが参加したことや、「OPC UA Compliance Test Tool(UACTT)」の拡張などが発表された。
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