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「OPC UA」とは何かOPC UA最新技術解説(1)(1/3 ページ)

スマート工場化や産業用IoTなどの流れの中で大きな注目を集めるようになった通信規格が「OPC UA」です。「OPC UA」はなぜ、産業用IoTに最適な通信規格だとされているのでしょうか。本連載では「OPC UA」の最新技術動向についてお伝えする。第1回である今回は、あらためて「OPC UA」の概要と位置付けを紹介する。

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 スマートマニュファクチャリングを実現するためのIIoT(産業用IoT)やM2Mを構成するコンポーネントに「OPC UAに対応」というような表現が使われることが多くなりました。「OPC UAなので簡単に接続できる」や「OPC UAを使って通信しているのでセキュリティは大丈夫」などです。2019年4月に開催された世界最大の産業見本市であるハノーバーメッセではどのブースもOPC UAに対応していることが当たり前になっていました。しかし我が国ではまだOPC UAの認知は低く、理解している人は少ないのが現状だと考えます。

 そこで本連載では「OPC UAとは何か」ということをより深く理解していただくために、その機能や、どういう点が注目されてどのようなところに採用されるのかについて、最新の話題なども織り交ぜながら技術面を中心に紹介します。第1回である今回は、ドイツのモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」で検討されている「管理シェル」をOPC UAの活用例として取り上げ、OPC UAの概要と位置付けを説明します。

OPC UAの概要

 「OPC UA」とは、産業用アプリケーションの相互運用を実現するオープンなインタフェース仕様です。「産業用」を掲げているように、高い可用性など一般向けとは異なる機能や性能を保有していることが特徴です。

 ポイントは、さまざまな環境におけるデータの相互運用性です。工場内にあるデバイスや生産制御用の機械、監視用のHMIなどが、OPC UAを組み込むことで自由で簡単にデータ交換ができるようになります。また、工場でのOperational Technology(OT)と経営側やオフィス側のInformation Technology(IT)とのリアルタイムでの情報連携も可能となります。

 これにはOPC UAがプラットフォーム非依存型の技術であることが大きな意味を持ちます。プラットフォームに依存しないため、Windows、Linux、iOS、Androidなどさまざまなオペレーティングシステムで動作可能となります。例えば、数百キロバイトのメモリで動作する組み込みデバイスからクラウド上に配置される大規模システム、モバイルデバイスなどさまざまなデバイスで使用することができます。しかもアクセスコントロール、通信フレームの暗号化、メッセージ認証など、セキュアな通信に必要とされる技術が通信プロトコル設計にあらかじめ組み込まれているという特徴もあります。

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図1 OPC UAが実現を目指す世界(クリックで拡大)出典:日本OPC協議会

情報を「活用する」を目指すOPC UAの特徴

 OPC UAはOPC Foundationという非営利団体で仕様の開発と維持が行われています。国際標準IEC62541としても登録されており、オープンスタンダードとして世界中で使用できる環境が整っています。

 OPC Foundationが設立以来掲げる基本理念は、「つなげる」「安全に」「伝える」をベースにし、そこから得られる情報に価値を付加して「活用する」ということです。これは、産業オートメーションの理想を実現することだともいえます。この理念がOPC UAの仕様にも反映されています。

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図2 OPCの理念を実現する「3+1」のコンセプト(クリックで拡大)出典:日本OPC協議会

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