「オープンだからみんな集まる」、広がるOPC UAの世界はセキュリティも重視:OPC Day Japan 2019(1/2 ページ)
日本OPC協議会が「OPC Day Japan 2019」を開催。インダストリー4.0やConnected Industriesといったトレンドの中で、装置や機器が持つデータを取り出し、それらを利活用するための国際標準として注目を集める「OPC UA」の最新情報について紹介した。
日本OPC協議会は2019年12月12日、東京都内で「OPC Day Japan 2019」を開催。インダストリー4.0やConnected Industriesといったトレンドの中で、装置や機器が持つデータを取り出し、それらを利活用するための国際標準として注目を集める「OPC UA」の最新情報について紹介した。
会員数は1年間で101社が加わり737社に
最初の講演に登壇したのは、OPC UAを策定するOPC Foundationのプレジデントを務めるステファン・ホッペ(Stefan Hoppe)氏だ。ホッペ氏は「OPC UAは、OPC Foundationの非会員でも利用しやすいオープンなものになっている。そしてOPC Foundationには、直近の1年以内で新たに101社のクラスA会員が加わり会員数は737社になった。このように多くの企業がOPC Foundationに参加するのかと言えば、それはOPC UAがオープンだからだ」と語る。
新たに参加した日本企業のクラスA会員としては、牧野フライス製作所やニコン、オークマなどの名前が挙がる。また、600番目の会員となったフォルクスワーゲン(Volkswagen)や、699番目の会員となった鴻海精密工業の子会社であるフォックスコン・インダストリアル・インターネット(Foxconn Industrial Internet)のことも紹介した。
OPC UAは工場などで用いる装置や機器のデータを活用するための標準プロトコルと理解されている側面が強い。このことに対してホッペ氏は「OPC UAはプロトコルではなくフレームワークだ。また、AからBへデータを渡すのではなく、意味のあるインフォメーション(情報)を渡すためのものでもある」と強調する。
OPC UAの新機能としては、PNO(PROFIBUS User Organization)とのジョイントワーキンググループで機能安全への対応を進めている。まずはOPC 10000のパート15の仕様として、クライアント/サーバモデルをカバーしたものが2019年12月から利用可能になるという。また、OPC UAの各仕様書に5桁の番号(先述した10000など)を割り当て、国際規格として識別しやすくした。Webサイトの「OPC UA Online Reference」で、これらの番号と仕様書の内容を確認できるようになっている。
また、The Open Group傘下のOpen Process Automation ForumやNAMUR、OPEN-SCSなどとの連携により、プロセス系や製薬系の装置、包装機器などにもOPC UAの採用を広げる取り組みを進めている。既にさまざまな協調を重ねているVDMA(ドイツ機械工業連盟)とは、産業用ロボット向けのOPC UAの仕様策定を進めているところだ。
今後の展開としては、OPC UAをより下位のフィールドレベルにまで広げるワーキンググループ「Field Level Communications Initiative」がある。バージョン1ではコントローラー間をつなぐ仕様を決め、バージョン2でコントローラーとデバイスの間をつなぐ仕様まで拡張する計画になっている。ここで重要な役割を果たすのが、イーサネットをベースに時間同期性とリアルタイム性を確保するTSN(Time Sensitive Networking)になる。「2021年以降の展開として5Gへの対応も見据えている」(ホッペ氏)という。
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