新型コロナの消毒作業を自動化、オムロンが“足”を提供へ:産業用ロボット
オムロンは2020年6月26日、紫外線(UVC)光照射器を搭載した除菌ロボットを開発する世界各地のパートナー企業に、オムロンのモバイルロボットを提供し、各種感染症拡大防止への取り組みを広げていくことを発表した。
オムロンは2020年6月26日、紫外線(UVC)光照射器を搭載した除菌ロボットを開発する世界各地のパートナー企業に、オムロンのモバイルロボットを提供し、各種感染症拡大防止への取り組みを広げていくことを発表した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、消毒・除菌作業の重要性は高まっているが、2次感染のリスクなどもあり、医療現場はもちろん、経済再開後のさまざまな環境でも対応に苦慮しているのが現状である。そこで、これらのリスクや作業負荷を下げるためにロボットで消毒作業を行い自動化する動きが世界中で増えつつある。
こうした動きに対応するためオムロンでは、世界各国のロボットシステムインテグレーターと協力し、消毒ロボット用の“足”としてモバイルロボットの提供を強化しているという。既に、フランスやシンガポールをはじめ世界各国のUVC光照射器ロボットを開発するパートナー企業にモバイルロボットを提供し、UVC光照射器ロボットの展開の支援を進めており現在10カ国以上で使用されている。また開発検討中のパートナー企業はグローバルで20社以上となり、オムロンからこれらの企業に30台のモバイルロボットを提供しているという。
オムロンでは「ロボットパートナー側から声をかけてもらい、2020年4〜5月くらいから話が進んだ形だ。コロナ禍の対応は今後グローバルで継続的に必要になるので積極的に支援やソリューションを提供していきたい」(広報)としている。
オムロンのモバイルロボット「LDシリーズ」は、従来のAGV(無人搬送車)とは異なり、自律的に障害物を避けて走行でき、小型で小回りが利くことが特徴だ。そのため、オフィスなど室内で使用できる他、レイアウト変更などが不要であり、さまざまな領域の除菌に最適だと評価を受けているという。消毒方法についてはさまざまな手段があるが「現状ではUVC光照射器との組み合わせで話をもらっているケースがほとんどだ」(広報)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デジタル化による製造現場の“現実的な革新”は何か、オムロンが実績をアピール
オムロンは、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、モバイルロボットによるコンベヤーレスライン、AIコントローラーによる「いつもと違う」を検出するソリューションなど、デジタル技術で製造現場を“現実的なレベルで”革新するソリューション群を披露した。 - 多品種少量生産を限りなく自動化に近づけるオムロン綾部工場の取り組み
オムロンはモノづくり革新コンセプト「i-Automation」のモデル工場である京都府の綾部工場を公開。本稿では新たなモノづくりの実現に向け、自社実践を行う綾部工場での現場の取り組みをお伝えする。 - 協働ロボット普及のカギは「用途別パッケージ」、2020年は“第3の道”にも期待
人口減少が加速する中、製造現場でも人手不足が深刻化している。その中で期待を集めているのがロボットの活用だ。特に協働ロボットの普及により人と同一空間を活用し新たな用途開拓が進んでいる。2020年はこれらの技術進化による普及が本格的に進む一方で、「人」との親和性をさらに高めた“第3の道”の登場に期待が集まっている。 - 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。 - 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。 - 機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。