生産台数0台の地域も、日系乗用車メーカーの4月振り返り:自動車メーカー生産動向(2/2 ページ)
日系乗用車メーカー8社の2020年4月のグローバル生産実績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響により国内、海外ともに8社全てが前年割れとなった。グローバル生産台数は8社全てが前年同月比で半減以上と、3月に比べ減少幅はさらに拡大。COVID-19が自動車生産に甚大な影響を及ぼした。
ホンダ、日産、マツダ
ホンダの4月のグローバル生産は、同52.0%減の21万2747台と9カ月連続の前年割れとなった。国内は「N-WGN」の生産再開や新型「フィット」の投入などがあったものの、国内市場の需要減速により同32.1%減の5万3114台と8カ月連続で減少した。海外は同56.3%減の15万9633台で7カ月連続のマイナスとなり、3月より減少幅が広がった。地域別では中国が同21.1%増と4カ月ぶりにプラスへ転じるとともに4月として過去最高を記録した。ただ、中国以外の地域は大きく減産しており、北米と欧州がともに0台となったほか、中国を除くアジア合計も6367台にとどまった。
日産自動車の4月のグローバル生産は、同62.4%減の15万388台と7カ月連続で減少した。このうち海外は同62.5%減の12万8719台。COVID-19感染拡大により主力拠点のうち、米国、メキシコ、英国、スペインで稼働を停止しており、0台だった。中国のみ生産活動を戻しており、4月は同8.8%減まで回復した。国内も国内市場の販売低迷に加えて海外向け需要の減退などにより同61.8%減の2万1669台と大きく落ち込み、15カ月連続のマイナスとなった。
マツダの4月のグローバル生産は、同69.9%減の3万5877台と8カ月連続で減少した。海外は同25.8%減の2万4171台と3カ月連続で減少した。タイやメキシコで生産停止したものの、中国が同40.0%増の2万3595台と大幅に回復したことで海外生産の落ち込み幅は8社中最も少なかった。ただ、中国はフル操業には至っておらず、大幅増の主な要因は前年同月に商品改良がなく販売が低迷していたことの反動という。このため5月以降はさらに増加するとみられる。
一方、グローバル生産の3分の2を占める国内生産は同86.5%減の1万1706台と海外の台数を下回るまで減少し、7カ月連続のマイナス。国内販売が減少したことに加えて、世界各地での都市封鎖など輸出需要が大きく落ち込み生産調整を実施。その結果、「マツダ3」や「CX-5」などの主力モデルが前年比9割超のマイナスとなった。
三菱自、スズキ、スバル
三菱自動車の4月実績は、グローバル生産が同66.2%減の3万4467台と8カ月連続の前年割れだった。国内は同67.6%減の1万5467台で2カ月ぶりのマイナスとなった。国内・海外向けともに需要が減少しており、各工場で生産を停止した。海外も同64.9%減の1万9000台と7カ月連続で減少した。主力のタイが同61.6%減と低迷したほか、稼働を再開した中国も同58.5%減とプラスに転じた他社と比べて伸び悩んでいる。
4月の生産で最も落ち込みが目立ったのがスズキだ。グローバル生産は同87.4%減の3万4015台と4カ月連続で減少。前年同月からの減少率は8社中最大だった。その結果、日系自動車メーカーでのグローバル生産台数の順位は、トヨタ、ホンダ、日産の大手3社に次ぐ4位から7位まで下げた。主な要因は海外生産で、同97.1%減の5598台にとどまり、4カ月連続で減少した。
これはグローバル生産の半数を占めるインドが全工場で稼働を停止して0台となったことによるもので、スズキのインド依存の高さが裏目に出た格好だ。国内生産も厳しく、同64.9%減の2万8417台と2カ月ぶりのマイナス。国内販売および欧州向け輸出の需要減少に加えて、海外で調達している部品供給への影響も生産停止につながった。
前年から好調を維持していたSUBARU(スバル)も、4月は大きく落ち込んだ。グローバル生産は、同83.4%減の1万4912台と2カ月連続で減少。減少率はスズキに並ぶ水準となった。スバルは3月、微減にとどめていたものの、国内は4月9日以降の工場稼働を停止。その結果、国内生産は同72.5%減と6カ月ぶりにマイナスに転じた。唯一の海外拠点である米国工場は、インディアナ州の外出禁止令により3月下旬から生産を停止しており、4月は0台だった。
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