三菱電機が協働ロボットを発売、直感操作で設定可能なプログラムツールも用意:協働ロボット
三菱電機は2020年5月21日、衝突検知などの安全機能を備えた協働ロボット「MELFA ASSISTA(メルファアシスタ)」と、同ロボットの導入や立ち上げを容易にするプログラム作成ツール「RT VisualBox」を発売した。
三菱電機は2020年5月21日、衝突検知などの安全機能を備えた協働ロボット「MELFA ASSISTA(メルファアシスタ)」と、同ロボットの導入や立ち上げを容易にするプログラム作成ツール「RT VisualBox」を発売した。
三菱電機では2019年12月の「2019国際ロボット展(iREX2019)」で協働ロボット「MELFA ASSISTA」を参考出展したが(※)、今回正式に発売を発表した。
(※)関連記事:三菱電機の「人とロボットの協働」は協働ロボットだけじゃない!?
生産ラインの自動化ニーズが高まる中で、従来の産業用ロボットでは適用できない領域での自動化に、人と共に作業をする協働ロボットの需要が高まっている。新たに三菱電機が発売した協働ロボット「MELFA ASSISTA」は5kg可搬の6軸のアーム型ロボットである。国際規格「ISO 10218-1」「ISO/TS 15066」に準拠している他、今後、国際的な第三者認証機関による機能安全規格の認証を取得する予定だという。また、NSF H1(米国 National Sanitation Foundation の衛生に関するガイドライン)認証の食品機械用グリスを採用した協働ロボットも用意している。
一方で、人と共に働くためには、ロボットのステータスを周囲の人が簡単に理解できることが必要になるが、「MELFA ASSISTA」は、ロボットアーム上のLEDライトで、ロボット単体で稼働状態を表示。ロボットの状態を外付け装置なしに把握でき、安心な協働作業環境を構築できる。
また、ロボットアーム上に搭載した専用操作ボタンで、ロボットへの教示作業(動作の記録・再生作業)を可能とし、これまで必要だったティーチングボックスを不要としている。教示作業に必要な操作数を最低限にすることで、習熟度の低い作業者でも短時間で簡単に設定することが可能である。
独自のプログラム作成ツール「RT VisualBox」は、ブロック図を用いることで、直感的な操作で簡単にロボットシステムのプログラム作成を可能とする。ロボットハンドやカメラなどの周辺機器との接続設定も容易で、ロボットのプログラムの開発や設計工数、システムの保守管理工数を削減可能としている。
今後の普及に向け、三菱電機では「MELFA ASSISTA」発売に合わせ「MELFA 協働ロボットパートナー会」を19社で発足した。パートナー会を通じて、パートナー各社が開発したロボットハンドやカメラなどの周辺機器であれば、「RT VisualBox」で簡単に接続設定が可能。今後も協働ロボットパートナー数を増やすことで親和性の高い周辺機器を拡充していく計画である。
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