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5Gで加速する、NTTドコモの共創ビジネスとIoTへの取り組みインターネプコン ジャパン2020(2/2 ページ)

エレクトロニクス製造および実装技術の展示会である「インターネプコン ジャパン2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)の特別講演に、NTTドコモ 5G・IoTソリューション推進室 ソリューション営業推進 担当部長で、エバンジェリストを務める有田浩之氏が登壇。「5G時代のビジネス協創に向けた取り組み」をテーマに、5Gがもたらす産業への影響とNTTドコモの取り組みについて紹介した。

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5Gに対するNTTドコモの期待

 5Gの特徴は「高速・大容量」「低遅延」「多数接続」が挙げられるが「最も期待されるのは『高速・大容量』だ」(有田氏)という。

 携帯電話端末によるデータ通信の速度は、1990年代の第2世代(2G)の頃が数kbpsだったのに対し、2019年末には1.5Gbpsまで増えており、20年強で50倍以上の速度となっている。第4世代(4G)では通信速度の目標は1Gbpsだったが、5Gの目標性能は22Gbpsである。4Gではサービス開始から9年でこの目標を達成したが、5Gでもサービス開始から徐々に速度を上げていくことが想定されている。

 「低遅延」については、4Gが10ミリ秒単位以下だったのに対し、5Gは1ミリ秒単位以下での通信遅延時間を目指している。低遅延性が生きる用途としては、リアルタイム顔認証や遠隔医療など多岐に広がる。ただ「技術面以外でも難しいハードルがあるだけに、産業界全体で取り組む必要がありそうだ」と有田氏は述べる。

 一方、「多数接続」という特徴はIoTデバイスとの接続により「農場ICTやスマートシティー、スマートホームなどの実現に貢献する」(有田氏)と予測する。

 NTTドコモは、5Gで3.7GHz、4.5GHz、28GHzという3つの周波数帯を使用する。28GHz帯はミリ波と呼ばれる領域であり、直進性が強く当初はモバイル用途に向いていないと評価されていた。しかし、この課題をクリアするために、低い周波数帯とこの高い周波数帯を組み合わせて利用する。これにより接続性やモビリティ性能を確保することと、高速データレート伝送を高効率に提供することの両立が可能となった。

 これらを実現する技術には「Massive MIMO」(数十〜数百のアンテナから同時に電波を受ける仕組み)、「beamforming」(複数のアンテナから送信される電波を強め合うことで、特定の方向に向けて送信される電波の到達距離を伸ばす)などがある。

5Gを医療や災害対応で活用

 NTTドコモでは5G活用の実証実験をさまざまな形で進めてきた。例えば、和歌山県では過疎地や島しょ部での医療提供で、地域中核病院との連携により、遠隔医療を行う実証を実施した。また、熊本県では、災害対応や消防対応といった利用シーンを想定し、4Kカメラ搭載の有線給電ドローンと5Gにより、リアルタイム4K映像伝送のデモンストレーションを行った。

 この他、ベンチャー企業とのコラボも進めている。H2Lとは「Body Sharing技術」を活用した新サービス創出に取り組む。「BodySharing技術」とは、筋変位センサーを活用し、手や腕などの身体情報をコンピュータと相互伝達することで、人やロボット、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)のキャラクターへ体の動きを伝えることができる技術だ。独自の触感提示技術を組み合わせることで、他人の体験やVR/AR空間の体験を体に伝えることができる。低遅延が特徴となる5Gと組み合わせることで、遠隔地にいる人の体験をリアルタイムに体験できるなどさまざまな活用が期待されている。

 その他、ドローンでの活用も推進する。5G通信技術搭載のドローンでは、リアルタイムにカメラやセンサーから映像や3Dデータを送るだけでなく、受けることができるようになる。橋梁などインフラの点検を自律的に行えるようになる可能性も生まれている。「5Gの性能を生かした将来技術の開拓も積極的に進めていく」と有田氏は語っている。

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