0603Mサイズのモバイル機器向けPTCサーミスタを量産開始、従来比で8割の小型化:組み込み開発ニュース
村田製作所は、モバイル機器向けのPTCサーミスタ「PRG03BC181QB6RL」の量産を開始した。独自のセラミックス技術で抵抗変動を小さくしているので、高温環境下でも長期間安定した特性を維持し、ショート異常にも対応して機器の安全性を向上する。
村田製作所は2020年1月20日、モバイル機器向けのPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)「PRG03BC181QB6RL」の量産を開始した。タブレット端末や小型ウェアラブル機器の長期安定性と安全性に貢献する。
PTCサーミスタは、一定の温度を超えると抵抗値が急激に上昇する特性を持つ。これにより、モバイル機器の組み立てや落下時に発生する回路の過電流を検知して回路を保護し、異常や故障を防ぐ。
PRG03BC181QB6RLの最大電圧は13V、最大電流は93mA。25℃での保持電流は14mA、トリップ電流は36mA、抵抗値は180Ωだ。キュリー点は90℃(代表値)で、この温度を超えると抵抗値が急激に上昇する。
サイズは0603Mサイズ(0.6×0.3×0.3mm)で、従来の1005Mサイズから体積比で約80%、実装面積比で約70%小型化した。縮小しただけでなく、独自のセラミックス技術により抵抗変動を小さくしているため、高温環境下でも長期間安定した特性を維持する。使用温度範囲は−20〜60℃だ。
また、従来のモバイル機器に搭載されているNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)と異なり、ショート異常に対応できるため、製品の安全性を向上する。
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