村田が産総研発ベンチャーを買収、ハプティクス技術を取り込み:製造マネジメントニュース
村田製作所は2019年12月25日、ハプティクス(触覚)技術開発などを手掛けるミライセンス(茨城県つくば市)を買収し、完全子会社化する契約に合意したと発表した。
村田製作所は2019年12月25日、ハプティクス(触覚)技術開発などを手掛けるミライセンス(茨城県つくば市)を買収し、完全子会社化する契約に合意したと発表した。取引条件の詳細は非公表としている。
2014年4月に設立されたミライセンスは、産業技術総合研究所(産総研)発のベンチャー企業。産総研の中村則雄氏が2003年に発明した「錯触力覚」をベースに、「3D触力覚技術」を応用したデバイスやミドルウェア、触感データベースなどの開発を進めている。
ミライセンスの3D触力覚技術は、従来の物理工学をベースとしたハプティクスとは異なり任意の振動波形によって脳に錯覚を生じさせ、人にさまざまな質感や感触の知覚を提供する。これにより、VR(仮想現実)などのデジタルコンテンツ上で表現される物の柔らかさや手触りなどを現実で触れているように感じられるという。
村田製作所はこの買収により、同社のデバイス設計技術とミライセンスのハプティクス技術を組み合わせ、独自性のある製品やサービスの提供を目指す構えだ。村田製作所 社長の村田恒夫氏は「ミライセンスのハプティクスソリューション技術は、世の中のデジタル化が進む中で触覚という体験をリアルに伝える非常に優れた技術だ」とコメントし、両社技術のシナジー効果に期待を見せた。
ミライセンス 代表取締役の香田夏雄氏は「村田製作所よりハードウェア面での強力なサポートを得ることにより、ミライセンス独自のテクノロジーである『3D触力覚技術』をさまざまな産業分野へ展開させる体制が整う」としている。
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