グーグルの「Edge TPU」がマルチチップパッケージに、村田製作所と共同開発:CES2020
グーグルは、組み込みAIチップ「Edge TPU」を用いた製品ファミリー「Coral」に新たなラインアップを追加する。「CES 2020」において、パートナー企業である村田製作所、メディアテック(MediaTek)、NXP Semiconductorsの展示ブースで公開する予定だ。
グーグル(Google)は2020年1月2日(現地時間)、組み込みAI(人工知能)チップ「Edge TPU」を用いた製品ファミリー「Coral」に新たなラインアップを追加すると発表した。消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2020」(2020年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)において、パートナー企業である村田製作所、メディアテック(MediaTek)、NXP Semiconductorsの展示ブースで公開している。
今回発表したのは「Coral Accelerator Module」と「Coral Dev Board Mini」、「Coral System-on-Module」の新バリエーションなどとなっている。
Coral Accelerator Moduleは、カスタムのプリント基板への搭載に最適なEdge TPUを中核とするマルチチップモジュールだ。外形寸法は15.0×10.0×15.0mmで、120ピンのLGAパッケージとなっている。シリアルインタフェースはPCIe Gen2とUSB 2.0に対応し、オプションの制御インタフェースとしてI2Cも利用できる。村田製作所と共同開発しており、2020年前半に入手可能になるという。
Coral Dev Board Miniは、既に販売されているシングルボードコンピュータ「Coral Dev Board」の小型版となる。SoCとしてメディアテックの「MediaTek 8167s」を搭載しており、RAM容量はDDR3Lで2GB。インタフェースは40ピンのGPIOヘッダとUSB Type-C(USB 2.0)を2つ、micro HDMI、オーディオジャック、MIP-CSI2などを備える。Coral Dev Board Miniも2020年前半に入手可能になる。
SOM(System-on-Module)であるCoral System-on-Moduleについては、従来のRAM容量がLPDDR4で1GBに加えて、2GBと4GBを選択できるようになった。また、エイスース(ASUS)がシングルボードコンピュータ「Tinker Edge T」に、Coral System-on-Moduleを採用したことも明らかにした。
Edge TPUは2018年7月開催の「Google Cloud Next 2018」で発表された組み込みAIチップだ。グーグルの機械学習フレームワーク「TensorFlow」の軽量版である「TesorFlow Lite」による機械学習モデルの推論実行に特化しており、その処理能力は4TOPS、1TOPS当たりの消費電力は0.5Wと小さい。
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