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コカ・コーラのパッケージデザインの方向性とは、味覚だけでなく五感に訴える:デザインの力(2/2 ページ)
「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」の特別講演に、コカ・コーラ 東京研究開発センター プリンシパルエンジニアの岩下寛昌氏が登壇。「コカ・コーラの考えるパッケージデザイン−飲料におけるパッケージの重要性と容器デザインの考え方−」をテーマに、飲料パッケージのデザイン、開発における重要な視点や要素などを紹介した。
「爽健美茶」のボトルはシニアでも握りやすいデザインを採用
同社の製品についての事例を見てみると「爽健美茶」は、ドライハンド(手の乾燥)などの現象により真っすぐなボトルが握りにくくなるシニアの人でも握りやすい、くびれたデザインを採用した。それに「心躍る」というスタイリッシュな要素を加えた形へと2006年に変更した。
「ファンタ」は、英語のFantasy(空想)やFantastic(すばらしい)に由来する「現実から解き放ってくれる」という楽しさや親しみやすいブランドだが、このイメージを具現化したはじけるバブルを基調とした楽しさを表したバブルボトルを採用した。3つのバブルをつなぎ合わせたデザインにより、結果的にくびれがあり、握りやすくなっている。
冷蔵庫の庫内のフロントポケットに入るように500mlのペットボトルの高さにあわせてデザインしたのがミディ1l(リットル)ペットボトルだ。大きなサイズのペットボトルを持ち込んで、会社などで飲むようになったという習慣に対応した商品だった。しかし、当初このパッケージはスーパーマーケットで2lペットボトルの横に並べて売ると、価格的に割高感があったため売れなかった。一方で500mlの横に置いて売った場合には、コンビニエンスストアをはじめ爆発的な売れ行きになったという。
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