学生もEV開発に試行錯誤、先輩から後輩への技術伝承も課題に:車・バイク大好きものづくりコンサルタントが見た学生フォーミュラ2019(4/4 ページ)
ラグビーワールドカップで日本がアイルランドに勝利し、沸きに沸いた静岡県袋井市・掛川市内の小笠総合運動公園(通称「エコパ」)。その約1カ月前の8月27〜31日に「第17回学生フォーミュラ日本大会2019」(以下、学生フォーミュラ)が開催されました。2019年もピットレポートを中心に学生さんの熱き活動を伝えていきたいと思います。
#21 静岡理工科大学
エンデュランス競技終了後に静岡理工科大学のピットを訪れました。チームリーダーの齋藤駿(以下SS)さんにお話を伺いました。
S いい走りでしたね! 初のFINAL6で走れた要因は?
SS 1番は今年(2019年)はたくさん走り込めたことです。
S と言うことはマシンはかなり早く出来上がったの?
SS 支部走行会の時ですからそうでもないんです。しかもセッティングが出たのが2週間前、そこからは耐久性を確認するために毎日のようにデイトナさん(オートバイのアフターパーツメーカー)のテストコースで走り込ませていただきました。
S 走りはかなり安定していて、見てて気持ち良かったですよ。
SS 結構パイロンタッチしちゃいました。リアが先に出るようなセッティングをしたのですが、タイヤがかなりタレてきちゃって、その特性が顕著に出過ぎました。
S 路面温度上がってたものね。エンジンは何を使っているんでしたっけ?
SS スズキRMX450です。
S 木村鋳造所さんの大きなステッカーが貼ってありますね。この会社、私大好きなんですよ。フルモールドと言う難易度の高い鋳造法をデジタルエンジニアリングを駆使して付加価値の高い鋳物を作り続けてる。
SS カウルの金型製作などを支援していただいています。
S 総合で何位くらいになりそう?
SS 20位くらいでしょうか……静的審査の成績が悪いんです。
S レポートにもあったけど、あのプレゼンテーションの順位はちょっとまずいよね……。以前、プレゼンテーションを私に事前に見せていただいて、何か所かアドバイスしたら8位に入った時があったよ。そういうスポンサーもありだから言ってね。
SS ありがとうございます。まだまだいろいろ課題があります。来年(2020年)のチームリーダーを紹介しますね。(ここで宿島圭太さん登場)
S 今回1番変わったところはどこですか?
SS ウイングですね。やはりエアロデバイスは効きますね。外して走ってみるとその効果は本当によく分かります。
S 他のチームは遠くから来ているのだから地の利も生かしてさらに上位に行きたいよね。今回のFINAL6を1つのきっかけにして、静的審査ももっと上位に入らないとね。引き続きスポンサーを続けさせていただきますので頑張ってね!
おふたり ありがとうございます!
大会会場からクルマで10分もかからない位置にある静岡理工科大学。メンバーによっては大会期間中にも自宅に帰れます。学生フォーミュラは「だから有利」などと言う生易しいものではありませんが、今大会はオートクロス6位(=FINAL6入り)エンデュランス11位、総合14位と好成績を収めることができました。静的審査のレベルアップをすれば1桁ゼッケンも目の前です。引き続き同校の活躍を期待します。
次回は大会の最後を飾るエンデュランス最終レースの模様と、日本工業大学、京都工芸繊維大学、そして初優勝を飾った名古屋工業大学のピットレポートをお伝えします!
関連記事
- ≫過去の学生フォーミュラレポート
- 波乱の学生フォーミュラ2019、名工大が安定感ある走りで優勝
「学生フォーミュラ日本大会2019」が2019年8月27〜31日にかけてエコパ(小笠原総合運動公園、静岡県袋井市・掛川市内)で開催された。強豪校がマシントラブルに見舞われる中、名古屋工業大学が動的審査のエンデュランス(約20kmの耐久走行)で圧倒的な走りを見せ、悲願となる初の総合優勝を遂げた。 - 出身者と現役が語る「学生フォーミュラで培われる“現場力”」
学生がクルマ作りの総合力を競う「学生フォーミュラ」。クルマ作りの過程での厳しい経験を踏まえた人材は、社会人でも活躍するという声が多い。学生フォーミュラではどんな“現場力”が身に付くのだろうか? - 「速いマシンは美しい!」と何度でも言おう
お待たせ! 恒例企画。車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタントから見た「全日本学生フォーミュラ大会」。2018年も楽しくレポートします! さて第2回はどの大学が登場するでしょうか。 - 学生フォーミュラから学ぶ「ノウハウ継承」と「課題解決」
学生が“クルマ作りの総合力”を競う「学生フォーミュラ」。上位を狙うためには、培ったノウハウや技術を先輩から後輩へ継承する手法や課題解決方法、プロジェクト遂行力のあるチーム作りなどが非常に重要となる。常勝校はどう継承しているのか。また課題解決に必要なスキルとは? - 豪雨の学生フォーミュラ2018で思った、「ここが変だよ! 日本の就活」
お待たせ! 恒例企画。車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタントから見た「全日本学生フォーミュラ大会」。2018年も楽しくレポートします! さて第1回はどの大学が登場するでしょうか。あと……、今の日本企業の新卒採用に、関がモノ申す!! - 学生フォーミュラ2018、前例のない事態の中で阪大が優勝、海外の大学が健闘
自動車技術会は2018年9月4〜8日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠原総合運動公園(通称「エコパ」)で「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)を開催した。今回もガソリン車(ICV)と電気自動車(EV)の2部門を設置し、実施した。今回の参加総数は98チーム(国内64チーム・海外17チーム)。今回の総合優勝は大阪大学。 - 学生フォーミュラは中国からの参戦が増加、EVにシフトする出場常連も
自動車技術会は2018年7月4日、「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」(学生フォーミュラ)に関する記者説明会を開催した。今大会の会期は2018年9月4〜8日、会場は静岡県の小笠山総合運動公園(エコパ)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.