波乱の学生フォーミュラ2019、名工大が安定感ある走りで優勝:学生フォーミュラ2019
「学生フォーミュラ日本大会2019」が2019年8月27〜31日にかけてエコパ(小笠原総合運動公園、静岡県袋井市・掛川市内)で開催された。強豪校がマシントラブルに見舞われる中、名古屋工業大学が動的審査のエンデュランス(約20kmの耐久走行)で圧倒的な走りを見せ、悲願となる初の総合優勝を遂げた。
「学生フォーミュラ日本大会2019」が2019年8月27〜31日にかけてエコパ(小笠原総合運動公園、静岡県袋井市・掛川市内)で開催された。強豪校がマシントラブルに見舞われる中、名古屋工業大学が動的審査のエンデュランス(約20kmの耐久走行)で圧倒的な走りを見せ、悲願となる初の総合優勝を遂げた。総合2位は横浜国立大学、同3位は名古屋大学EVだった。
第17回大会となる同大会は、世界7カ国、地域の海外チームも含めて98チームの参加登録があった。排気量710cc以下の4ストロークエンジンを動力源とするICVクラスと、バッテリー供給電力80kW未満のモーターで駆動するEVクラスの2クラスで争われる。審査はプレゼンテーションや設計の妥当性を審査する「静的審査」、加速性能や旋回性能、燃費をコース上で競い合う「動的審査」の合計1000点満点で順位を決定する。
2018年の第16回大会は大荒れの天候に翻弄されたが、今回大会は一時降雨があったもののおおむね良好な天候に恵まれた。大会4日目終了時点での暫定首位は、前回大会で総合優勝を果たした大阪大学。京都工芸繊維大学が2位で続き、3位は京都大学だった。今回大会で優勝を果たした名古屋工業大学は当時暫定7位、総合2位を獲得した横浜国立大学は当時暫定4位だった。そんな中、強豪校が走行する大会5日目のエンデュランスは波乱の展開となる。
早めの走行順だった大阪大学は、1人目のドライバーが走行中に足回りのトラブルが発生し、無念のリタイアを余儀なくされた。また、京都大学はドライバー交代時にエンジンが再始動できずリタイア、京都工芸繊維大学もマシントラブルに見舞われマシンを止めている。
一方で、名古屋工業大学と横浜国立大学はトラブルフリーでエンデュランスを完走。名古屋工業大学は1分0秒970、横浜国立大学は1分2秒425のファステストタイムを記録した。特に、名古屋工業大学は今年度マシンを4月中にシェイクダウンさせ練習走行で550kmを走り込んでいたといい、両ドライバーとも安定したラップタイムを刻んでいたことが印象的だった。
MONOistでは、今回大会も関ものづくり研究所 関伸一氏によるレポート記事をお届けする予定だ。
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