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学生フォーミュラは「人づくり」の場学生フォーミュラ2017(1/2 ページ)

学生による自動車競技会「全日本 学生フォーミュラ大会」が今年も開催された。大会関係者はみな「学生フォーミュラはモノづくりだけでなく“人づくり”の場」と口をそろえる。日本最大級の学生モノづくり競技会を、人材育成の観点で紹介する。

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 学生だけで構想、企画、設計、製作された小型のフォーミュラスタイルレーシングカーで競技を行う「全日本 学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)が、今年も静岡県袋井市のエコパで開催された(開催期間2017年9月5〜9日)。“クルマづくりの甲子園”とも呼ばれるこの学生フォーミュラ、第15回となる今回は海外校も含めて90校98チーム(国内74、海外24)が参加。産学官の多くの団体が協賛し、参加者数は6000人を超える日本最大級の学生モノづくり競技会となっている。

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90校98チームが参加した日本最大級の学生モノづくり競技会「全日本 学生フォーミュラ大会」

 “本気のクルマづくり”を通じてモノづくりの本質が学べる学生フォーミュラは、人材育成の観点でも注目を集めている。学生フォーミュラを経験した卒業生は毎年400人を超え、モノづくりを支える優秀なエンジニアとして自動車業界を中心に多くの企業で活躍。大会事務局発表の資料によると、学生フォーミュラ経験者の進路先は自動車製造が70%、自動車部品製造が12%、その他車体製造や専門サービス、教育機関などトータルで9割以上が自動車関連の職に就いている。

挑戦する力が身につく「人づくり」の場

 学生フォーミュラの魅力について、2010年から毎年参戦している摂南大学のファカルティアドバイザー(FA)を務める理工学部機械工学科 准教授の堀江昌朗氏は「モノづくりに挑戦しようとする学生が集まり、いい人材が育っていることを実感している。モノづくりのプロジェクトのように見えるが、実は“人づくり”の場だと思っている」と語る。

 「もちろんドロップアウトしていく学生もいるが、そこで残った学生は本当に何回も失敗を経験し、それを何度も繰り返すことで、だんだん挑戦する気持ちが強くなる。そしていろんな苦難を乗り越える力を自然と身につける。社会人として必要な基礎力が身についた状態で就職するので、就職後も活躍していく人が増えていくという好循環になっている」(堀江氏)

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摂南大学のFAを務める理工学部機械工学科 准教授の堀江昌朗氏(右)

 第2回大会から参戦する古豪チームの近畿大学でFAを務める理工学部 機械工学科 講師の池田篤俊氏も、学生フォーミュラの活動を通じてチャレンジ精神とコミュニケーション能力が培われる点を強調する。大会常連校の近畿大学だが、毎年のように新しいアイデアを車体に盛り込んでいる。今年はブレーキ構造とリアウイングに学生が発案したアイデアを採用した。

 「勝ちを狙って安定性を求めるなら車体の変更は最小限にするべきだろうが、学生フォーミュラの場合はチャレンジ精神を尊重しているので、どんどん新しいアイデアを採用している。これは学生時代にできるだけとがった考えを身につけさせたいため。今回、ブレーキの構造を凝ったものにしたが、やはり作っている時からトラブル続きだった」(池田氏)

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近畿大学でFAを務める理工学部 機械工学科 講師の池田篤俊氏

 トラブルが発生してもFAはあまり口出しはしないという。学生はメーカーや協賛企業にトラブルの相談をしたり、学生フォーミュラに参戦している近隣の大学同士で情報交換を行うなどして、自力でトラブルに対応するのだ。そういった体験を通じて徐々にコミュニケーション能力が身についていく。

 「普通の学生よりもはるかに多くの会話や意見交換をしている。自分たちの意見を伝えたり、逆に人の意見を聞く機会が増え、そういう能力が自然と鍛えられる。修士2年生から大学院生まで参加しているので知識も考え方もバラバラ。その中で培った経験は大きい」(池田氏)

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エアロボディで定評ある近畿大学だが今年はリアウイングが特長的。空力を重視し、コーナーリング性能を向上させたいという学生の狙いで、CAEやCFDなど解析を駆使してルールぎりぎりまでウイング大きくした。ただし、あまり大きくし過ぎるとストレートでスピードが出ないので、可倒式の機構を採用。ストレートでスピードが出ると風の力でウイングが下がり、空気抵抗を減らす仕組みだ。実際の大会ではエンジンが不調で、機構が作動するまでのスピードが出せなかったというが、この挑戦で得られた経験は大きい
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