豪雨の学生フォーミュラ2018で思った、「ここが変だよ! 日本の就活」:車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2018(1)(1/4 ページ)
お待たせ! 恒例企画。車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタントから見た「全日本学生フォーミュラ大会」。2018年も楽しくレポートします! さて第1回はどの大学が登場するでしょうか。あと……、今の日本企業の新卒採用に、関がモノ申す!!
2018年9月4〜8日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠総合運動公園(通称「エコパ」)で「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)が開催され、2017年に引き続き最終日にMONOist編集部の小林由美さんとの取材をしてまいりました。2018年もピットレポートを中心に学生さんの熱き思いを伝えていきたいと思います。車両のレギュレーションや審査ルールなどは全日本学生フォーミュラ公式サイトをご覧ください(関連記事:学生フォーミュラ2018、前例のない事態の中で阪大が優勝、海外の大学が健闘)。
自然災害に翻弄された本大会
大会に向けての活動も大詰め段階の2018年6月18日、大阪北部で最大震度6弱の大きな地震が発生、主催者は関西地区の大学に対し、地震によって活動休止を余儀なくされた期間分、提出書類の期限を延ばして対応しました。
そして大会初日の9月4日、大型台風21号が神戸市付近に上陸、台風の東側に当たる会場の静岡県袋井市は当然その影響を受け、初日のスケジュールが大幅に遅延、それは最終日にも影響を及ぼし、約半日遅れの進行となりました。
更に大会中日の6日未明には最大震度7の大地震が北海道を襲い、北海道大学のFA(ファカルティアドバイザー:技術顧問の先生)が帰宅を余儀なくされたとのことです。
最終日には例年通り、担当の小林さんとJR浜松駅で待ち合わせ、私の愛車で会場に向かうのですが、小林さんから「今浜松駅に着きました」との電話が入った直後、「きゃあ!」という悲鳴が聞こえました。いきなりの豪雨が原因でした。幸い駐車場は地下で、ずぶぬれになることはなかったのですが、会場に向かう東名高速道路上でも時折前が見えないほどの豪雨に見舞われ、「これ、みんな走れているのかなぁ?」と心配になりました。
幸い会場に着くころには雨が上がり……、と思うと、やはり時折豪雨が襲い、その度最終日に行われる動的審査の華、「エンデュランス」では走行と中断の繰り返しで、学生さんはもちろんのこと、主催者も本当に大変だったことと思います。例年は全ての参加車両と参加者全員で撮影する集合写真ですが、2018年は天候及び進行の遅れ(車両をトラックに積み込んで帰り支度をしなければいけません)により、参加者のみになりました。
No.49 鳥取大学(鳥取大学フォーミュラプロジェクト)
さて、ピットレポートのトップを飾るのは恒例となりつつある鳥取大学です。私が個人的にスポンサーをしているものですから、どうしても気になってしまうのです。リーダーの落合勇太さんにお話を伺います。
関(以下S) カウリングがずいぶんきれいになったね!
落合さん(以下O) はい、前回までは黒基調で作ったのですが、今回はエンジンをカワサキの4気筒からヤマハの単気筒(YZF450)に変えたこともあり、イメージチェンジしました。
S 今回のマシンの特徴を教えてください。
O エンジン、ECUやメーターパネルの電装系、足回りなどほぼ全ての部分を新設計しました。間に合うかどうか分からなかったのですが、直前になってエアシフターによるパドルシフトも搭載できました。かなりきつかったですが、メンバーのみんなが頑張ってくれました。そしてチーム創設以降初めてエンデュランスを完走しました!
S えっ! 完走したの! それはおめでとうございます! 大躍進じゃないですか!
小林記者(以下K) 年々ステップアップしていますね!
O ただ、静的審査が2017年より悪かったので、2019年はその部分の強化と動的審査全種目完走を目指します。
S こりゃあまだスポンサーをし続けるしかないねぇ(笑)、今回初めての単気筒エンジンだけど、熱間始動性に問題は大丈夫でしたか?
O エンデュランスのドライバーチェンジ時はOKだったのですが、走行後の騒音チェックでエンジンがかからず減点されました……。
S 単気筒エンジンの弱点だよね。でもここ2年の進歩はすごいよね。スポンサーを始めた年は「ダメだろ、こりゃ!」って感じだったもの(笑)
O 自分が今3年生で、今後1、2年生にどうやって技術をつなげていくかがテーマですね。
K 今回は天候には悩まされませんでしたか?
O オートクロスは1回しか走らなかったのですが、走行直後に豪雨が降ってきました。運が良かったのかもしれません。
S エンデュランス完走が本当の意味でのスタートラインに着いたってことだよね。これからどうやってクルマの性能やチームマネジメントを向上させていくかが、今後のステップアップの重要要素だね。
K 現在の上位校も、同じステップを越えてきています。
O 鳥取県と言う地理的にもリソース的にも不利な状況を覆していこうと思っています。
S 鳥取県には平井伸治さんという元気な知事がいるんだから、アプローチしてみたら?
O はい、県とはつながりたいと思っています。僕が今回で第一線を外れるので、渉外担当として動こうと思っています。
S 私もまた平井知事さんと逢う機会があったら、皆さんの頑張りを伝えますね!
スポンサー宛に毎月メールで送られてくる活動レポートはシンプルなもので、2018年度の活動進捗も少し不安視していたのですが、車両のレベルは確実に上がっています。総合順位こそ2017年とほとんど同じではあるものの、エンデュランス初完走と言う大きな達成感を持ち帰り、さらに活発な活動を続けることを期待します!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.