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サークル活動と甘く見るな! 学生フォーミュラは企業も顔負けのモノづくり対決車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2016(1)(1/5 ページ)

車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタントが「全日本学生フォーミュラ大会」をレポートします。第1回は審査のクライマックスでもあるエンデュランスです。数々の審査で好成績を収めた6校が20周の合計タイムを競います。マシンからはさまざまな設計思想が垣間見え、速さを競うだけではないモノづくり対決であることが分かります。

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 2016年9月6〜10日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠原総合運動公園(通称「エコパ」)で「第14回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)が開催されました。2015年に引き続き取材/観戦しましたので、レポートさせていただきます。

 2015年は寂しく1人での取材だったため、ピットレポートで学生さんに話しかけるのは少し勇気がいりましたが、2016年はMONOist編集部のクルマ好き女子、齊藤由希さんとの取材ですので、心強かったです。

 なお、本文中のマシンに関する数値は公式ガイドブックから抜粋しております。実際と異なる場合もありますので、ご了解ください。

学生フォーミュラとは

 私がこのイベントをレポートするのは5回目になりますが、まずは学生フォーミュラについて簡単に説明をいたしましょう。

 正式名称は「全日本学生フォーミュラ大会」、主催者は自動車技術会です。スポンサーは自動車メーカーをはじめ、自動車部品製造メーカーや3D-CAD、CAEのベンダー企業など約200社が名を連ねています。

 一言でいえば「大学生が基準に適合したフォーミュラカーを設計/制作し、走らせてタイムを競う競技」ですが、資金や部品を提供していただくスポンサー集め、書類審査のための資料作成(コストレポートは1000ページにも及びます)、大学のクラブ/サークルとしては決して楽とはいえない活動のマネジメントなど、難易度の高い製品を設計/制作/プロモーションする中小モノづくり企業のような要素を求められます。

エントリーから本番までのフロー。1つ1つの関門は決して広いものではありません
エントリーから本番までのフロー。1つ1つの関門は決して広いものではありません(クリックして拡大) 出典:自動車技術会

 クラスは2つ、ICV(内燃機関車両)とEV(電気車両)で、EVクラスは2009年からのエキジビション走行を経て、2013年の第11回大会から正式種目になりました。車両のレギュレーションの概要は以下の通りです。

  • 両クラス共通:オープンコクピットのフォーミュラカースタイルであること。ホイールベース1525mm以上、ホイールは8インチ以上
  • ICV:4サイクルエンジン、総排気量610cc以下。オリジナルの過給機装着可。騒音は所定の回転数で100dB以下。
  • EV:最大公称作動電圧600VDC、時速5km以上の車速で作動する回生装置可

 もちろん安全性にかかわる細かなレギュレーションも規定されており、書類審査や車検でチェックされます。これらのレギュレーションはFormula SAE(SAEはアメリカの非営利団体Society of Automotive Engineers)として、一部ローカルルールはあるものの、世界共通となっています。最も歴史が古いのが米国で、第1回は1981年に開催されました。

 日本では2003年に富士スピードウェイで、11チームのエントリーでの初開催でしたが、2016年は過去最高の106チーム(うち海外13チーム)がエントリーと、年を追うごとに規模と認知度が上がってきています。

書類選考を通過し、会場に集結した95チーム、約2000人の学生たち
書類選考を通過し、会場に集結した95チーム、約2000人の学生たち(クリックして拡大)
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